第11話「死だった」

辛いなどと声を上げれば

舌を刈り取られそうで

弱音は極力一人の夜についた


社会という枠組みで

人生について

いいや命について

迷った


それは生きるとか死ぬとかの線分で

究極化した顛末であった


僕がこのまま時間に流されれば

おそらく一生を全うする前に

自殺するだろう


だから変わらねばいけない

だが環境はいつだって凶暴で

僕を食い物にして

むざむざと貶してくる


落とし込んだどす黒い感情

赤彩色のただれた皮膚


もう悲しみが傷跡になって

フラッシュバックし

もうろうとするデストロイメントに

煩わされる


この不出来な世界と僕を取り巻く悪質な環境が

ただの一度も光を見せないから

ただ腐り、死を促すから

もうその通りに死んでしまおうと


本意を失うが

そもそも僕に確たる生存本能もないから

死んだっていいと


そう投げやりに

ただ世界に隠れた一畳の光が

死であり、死でしか救われないのが僕だった。

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