第二部

第26話絆と新しい顔ぶれ

俺は佐野守。


今日学校から帰ってたら、話があると父から言われている。


なんだろうな、話って。


最近父親が笑顔の回数が増えたことと何か関係あるのかな。



まぁ帰って来れば分かることだ。


最近学校に行くのが楽しみで仕方ない。

まさか自分に彼女が出来るなんて。


荒川美沙希。学校でも、美人と評判の女子だ。



彼女の存在が、俺の学校生活を楽しくさせる。


もちろん友達の、西条や青木も良い奴らで、俺の学校生活の支えになってくれている。


西条からは良く彼女の惚気話しを聞かされる。


本当に彼女にベタ惚れしてるんだろうな。

彼女がいなかったら、はっ倒してるところだ。



まぁ当然か、2回も浮気現場見て浮気しない彼女を持てばな。


俺の彼女も浮気するタイプじゃない。何故なら俺の彼女は、自分にベタ惚れしているからだ。


お互い今では、バカップルと呼ばれている。


一方青木だが、まだ彼女はいない。中島レイナに惚れているらしいが、早く付き合えば良いのにと、陰ながら応援している。



そして自宅から今学校に到着。



席について、授業を受け、何事もなく、終わった。

部活に行く前に、友達と話しておくか。



「西条、青木どうだ? 何か変わったことある?」

手を挙げて2人に聞いた。


「佐野、うん、彼女と同棲中なんだけど、まぁ青木も一緒に住んでることになるんだけどさ、しかも円香ちゃんと、ベット一緒なんだ。参ったよ。」


早速惚気かよ〜知らねーよ、勝手に参っとれ。


「やって疲れたってことか?」



「いやまだしてない。下ネタになりそうだけど、そうじゃない。唐突なんだけど、僕が言いたいのは、眠れないくて大変ってことだ。」


うん? あーそう言うことか。兄貴がいるから、変なことも出来ずってことね。



「慣れるしかねーだろうな。まぁ下品な話しは辞めて、他の話しようぜ?」


俺は話しを上手く調節してやった。

そう言う話は間に合ってるんでね。


「今円香ちゃんと勉強ばっかりしてるよ。だから話題がないんだ。」


西条がぽつりと言う。

彼女の話しばっかりだなこいつ。


「そうか。青木はどうだ? 西条と一緒に暮らしてんだって?」

青木に話を振ってやった。さっきからこいつ、何も喋らん。



「まぁ…西条は、羨ましいぐらいイチャイチャしてやがるな。妹と上手くやっててる。

俺は、特に…変わったことはないな。」


青木が考えながら言った。


変わったことはないか。つまらん男よのー。

コンタクトにしてから、モテるらしいが、1人の女子に夢中なようで、日常の変化はないってことか。


まったくこいつらは、女の話しか、妹との話しかしない。


よく友達やってるな、俺は。そう思った。


「最近音楽で気になる曲があってさ、お前らはどう? おすすめの曲はない?「



「僕は、今勉強しかしてない。音楽か。懐かしいな。」

西条が視線を遠くにやって言う。


西条、目が死んでないか? 別に勉強したくないなら、しなきゃ良いだろう。


「西条勉強したくないって言えよ、彼女に。それか、勉強以外にもやろうぜってな。尻に敷かれんなよ?」


俺は西条に説教した。


尻に敷かれんなよか…そう言ったものの、俺も彼女に惚れた弱みでそこまで強く言えないな。

西条すまん…よく考えたら、俺もそんな言えんかもしれん。


「うん、たまには言って、出かけたりはするよ。ただ円香ちゃんも、僕のこと考えてやってくれてるの分かってるから、言いづらいかな。」


西条が顎に手をやり言う。

偉いなこの男。さすが俺のダチ。彼女思いの素晴らしい野郎だったわ。


うん? 結局女の話になってるぞ? 

笑うわこんなん。



「俺はラップを聞くな。元気が出るんだ。」

青木が口角を上げて言う。


「ラップ! 良いね、イヤァー。」

俺は体を動かして言う。

  

  

「おう、良いぞー。日本のも外国のも聞く。幅広いジャンルなんだ。奥が深い。」

青木が真剣な表情で語りだした。


やっと女子の話し以外が始まったぞ。ナイスだ。



「やはりエミ◯ムだ。彼のラップは、何十回も聞いた。」

青木が具体的な名前を出して言う。



「まぁ、ラップの巨匠だからな。俺も知ってるぞ。」

俺は青木に納得の頷きをした。


西条は、ポカーンとしている。


「誰それ? 漫画のハンターのボス?」

おい、そいつは違うぞ。


「西条は、アニソンとか聞かないのか? アイ◯ルは良い曲だぞ?」

俺は西条に気を遣って分かりそうなジャンルで聞いた。



「さすがに分かるよ、それは。アニソン聞くけどさ、今は、スマホもいじれないんだよね。だから、そんな聞けてない。」



「むむ〜西条先輩! 女と連絡してないですよね? スマホいじるの辞めて下さい! これだよ?」


円香ちゃんの真似をしながら西条が言う。

ふふふ、面白れーな。


「ヤンデレなんだろ? お前が強気にいけば言うこと聞くんじゃないの?」




「いや、多分言ったら、はぁーそうですよね。私みたいな駄目人間の言うことなんて、先輩聞いてくれませんよね? こう言われる。」


へー面倒い女だな。とは言っても、俺も彼女いなかったら、面倒くさいとも、なんとも思わないかもな。



「そろそろ時間だから、部活行ってくる。西条、彼女が教室の入り口でお前を見張ってるぞ?」


さすがヤンデレだな。付き合いだしたら、毎日毎日ご苦労様だぜ。

こうして教室の前で、待ち伏せだ。


僕は帰宅部だからね。彼女と帰るとするよ。またね。

西条が言う。


俺は教室を出た。


「先輩〜一緒に帰りましょ。」

甘い声が聞こえて来た。


こいつらが学校名物バカップルと言われる所以だ。


これだけ有名だと、西条、円香共に口説きづらいことになってる。


円香ちゃんのほうは、笑顔になって、モテる要素が出て来て、連絡交換しようとする連中が増えた。


まぁ俺も顔だけならかなりタイプ…いかん、彼女いるのに。

彼女が1番。



その彼女に今から会いに行くのだ。同じ美術部で彼女の絵は、とても明るい絵だ。

まさに俺にとって太陽の様な存在。



「まーちゃん、こんにちは。」

俺の彼女、荒川美沙希が声を掛けてきた。


まーちゃんとは、俺の守から、きている。


「みーちゃん、こんにちは。今日も笑顔が可愛いね。」


お互い愛称で呼ぶ事にしている。


それぐらい親密という訳さ。



そして、みんなから美しいだの、綺麗だなと言われているが、俺は敢えて可愛いと言っている。


それは1番言われると嬉しいと、知っているからだ。


みんなが言って、俺だけが可愛いと言う、それを聞いた、彼女の表情が特別な可愛いさを表している。

それが彼女の本当の魅力なのだ。



俺がそれを言うと、彼女が心から喜び目を瞑り、手を胸で組む仕草をする。


俺たちの関係を知ってるみんなは、遠慮して、2人だけの会話を邪魔しないようにしてくれている。



まさに相思相愛だ。


「まーちゃん、だんだん絵が上手くなってきたね。」 


「みーちゃんは、絵が上手いから超絶上手くなったね。」


「ふふ、ありがとう。まーちゃんは優しいね。」


寄り添いながら彼女が言う。


顔を赤らめ、俺の肩を揉みながら続けて言う。

「いつもありがとう。部活とは関係ない話になるけど、休みの日またデートしたいな。」


俺は心よくOKの返事をした。


みーちゃんとのデートは、まさに生き甲斐そのもの。



みーちゃんと親密な会話を楽しんだ後、学校から帰宅した。


家に着くと、父親と見知らぬ綺麗な女性が座っていた。

そしてもう1人とんでもなく可愛い女の子が座っていた。


「実はな、父さんこの大川沙也加さんと再婚しようと思うんだ。」



「今日はそのことをお前に伝えたくて。静かで、落ち着ける場所が良いかなと家を選んだんだ。」

親父が唐突に述べた。



「守さんいきなり驚かせてごめんなさい。お父さんには、息子の事で凄いお世話になって、それで…ね。こういうことになって。」

親父と目配せしながら彼女は言う。


「あの、大川莉菜です。おにーちゃんって呼んでも良い? へへ、歳の近いおにーちゃんが出来るってワクワクしてきたの。」


信じられないくらい可愛い子が俺と屋根の下に、まずいだろこれは? あの円香ちゃんぐらい可愛いくないか?


そして再婚? 大川律の母親だよな? 俺の頭は混乱していた。

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