第24話 『光る君へ』 【ドラマ】

 2024年の大河ドラマ『光る君へ』を一話から見ている。


NHK 『光る君へ』

https://www.nhk.jp/p/hikarukimie/ts/1YM111N6KW/


 過去、大河ドラマを完走できたのは、やはり毎週見続けることだなと反省したのは、実は二年前の『鎌倉殿の13人』をいまだに見終わっていないからだ。


 録画しているからまぁいいか、と思うと見ない。いざ見ようとすると鬱展開で子供が嫌がる。まとめ見すればするほど、内容が重すぎて休憩が欲しくなる。あれは毎週見続けるのを計算して作られているのだと、改めて大河ドラマや連載というものを考えさせられた。


 例えるなら、フルコースのフランス料理を本来2時間ほどかけてゆっくり味わって食べるのに、遅刻して30分で食べて、あまりの味の濃さと変化に無理……となったのに似ている……。二度とやってはいけないと反省した。


 なので今回の『光る君へ』は、録画もしているがとりあえず日曜日の8時にはオンタイムで見ることを続けている。なんとかだけれども。


 第一話の衝撃のラストから、二話ではそれぞれ子役から成長した俳優さんに代わり、なんだかんだのすれ違いを経て五節の舞で一人浮かれまくり、第5話の『告白』の号泣シーンでもらい泣きしそうになった。


 中学時代、氷室冴子さんの『ざ・ちぇんじ』から『なんて素敵にジャパネスク』世代には突き刺さる。漫画も読んでいた。


 『ざ・ちぇんじ』なんて好きすぎて、とうとう古典の『とりかえばや』を解説付きで手にとった。現代語訳は当時なかったように思う。さらに、さいとうちほさんの『とりかえ・ばや』の五節の舞がドラマで見れて大興奮だ。


 国語便覧の御所の図を見ながら清涼殿や梨壺はここ、弘徽殿はここで梅壺はここ、などとやっていたのだ。『光る君へ』で二次元が三次元化されて楽しくないわけがない。いや、めちゃくちゃ楽しい。


 第五話の後には大河終了後のツイッター(X)のスペースにも参加できて、中高生時代を思い出してしまった。


 それにしても平安ファンの方が、推しの結末を知っていても見るのが怖いと言っていて、戦国時代や幕末ファンの方はどんな気持ちで大河を見ているのだろう? というセリフには思わずなるほど!? となった。


 ドラマ化されることがほぼ稀な時代ゆえに、ドラマ化に慣れていない人たちの戸惑いが凝縮されていた。


 個人的に言えば、何パターンも見ているので、今回はこんな感じかーと思って楽しく見ている。漫画や小説もそんな感じだ。知っているからこそ、その解釈の違いを発見すると面白い。


 オーケストラなど好きな曲を〇〇版がいいなどと、指揮者やオーケストラ、歌い手や奏者ごとの違いを楽しむ感じと言えばいいのだろうか?


 サン・テグジュペリの『星の王子様』が数年前に著作権切れで、一気に翻訳本が増えた時期があるけれど、あれもほぼ買い集めて違いを楽しんだりした。


 オリジナルがあるようでないことも多い歴史上の出来事を、どう料理するかという楽しみ方をしているのだろうなと思っている。


 そういう意味で1000年前の源氏物語は、私たち現代人は想定読者ですらないという指摘は、目からうろこだった。


 当時ですら宮廷内の小さなコミュニティで、せいぜい多くても数100人程度が読んだもの。小さければ100人に満たないかもしれないごくごく一部の人たちによって楽しまれたものなのだ。


 それが時代を経て受け継がれて(写本とはいえ)1000年後の私たちも楽しんでいるのが『源氏物語』とおっしゃっていた。それを私たちはいろいろな形で楽しめている。


 『光る君へ』もいろいろ翻訳、意訳、そこは令和のドラマらしいという改変もいっぱいあるようだが、その改変すら楽しめるかどうかがきっと腕の見せ所なのだろう。


 そういう意味でも、今回の大河ドラマの並々ならぬ力の入れようが見て取れる。衣装も今までのものを流用できないだろうから、一から作り上げていくなら、予算もかなりの規模になっているはずだ。


 それでも見目麗しい衣装やしぐさを楽しませてもらっている。今回は文字も見どころの一つとして、書界隈の人たちのコメントも流れてきて面白い。


 役者さんのインタビューを見ると、文字も役者さんが半年かけて練習をして書かれているそうだ。そして服装も、狩衣などやはり日常ではないあの袖をどうさばくか、そのしぐさの難しさが語られていた。


 毎週の楽しみによって、なんとなく暗くなりがちな日常もリセットさせてもらっているので、今年はこの『光る君へ』を追いかけていくだけで、ちょっと違う一年になりそうだ。

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未整理の収蔵庫 嵯冬真己 @museumstory

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