第26話 水族館

午前6時。


朝早く、ロッシュが支度をする。


アンタレスはまだソファで寝ていた。


アントニオが冷蔵庫から朝ご飯を出し、テーブルに並べる。



「アンタレスさーーん?」

↑ロッシュ


「ほがーーー…ほがっ」

↑アンタレス


「(おじさん…?)」



「このクソババア、置いて行こうよ。こいつ夜遅くまでパソコン見てた奴だぞ?」

↑アントニオ







「はっ⁉︎

誰がだと⁉︎⁉︎⁉︎」


アンタレスが目を覚ました!


「起きた」「起きたね」




「ヤッベ、髪がボサボサだ!今 何時⁉︎」

↑アンタレス


「早くしろよマ

↑アントニオ



「は?」←意味がわかってない


「やっぱなんでもない」



急いで髪を解かして食パンを食べている彼女アンタレスを見て、ロッシュは思う。


「(あーゆうところは、人間っぽい人…)」



「ようし、準備はできた。早速行こうか」

↑アンタレス



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



3人はアンタレスの空間操作で、千葉県 鴨川市へやって来た。


鴨川シーワールドという水族館の入り口が、目の前に。


良く晴れた日だ。すぐ近くの海から潮風が吹く。



「おお…海へ来たのは、いつぶりですかねぇ」

↑ロッシュ


「2年振りじゃん」

↑アントニオ


「そうか、私はホテルの予約を取ってくる。

2人は魚を見ておいで。すぐに追いかけるからさ」

↑アンタレス


彼女は2人にチケットやパンフレッドを渡すと、背中を押した。



アントニオがアンタレスに呟く。


「中で騒ぎ起こすなよ?」


「それはお前な」


「確かにw行こうか、アントニオ」



ロッシュは彼の手を繋いで、入り口のゲートを潜っていった。


外からでも見える綺麗な海光が2人を照らす。



「(私も元々こうなるはずだったのかな)」


アンタレスはそう思いながら、鴨川シーワールドホテルへ向かった。



「(……………どこからか視線を感じるが、気のせいかな)」

↑アンタレス



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


アントニオとロッシュは地図を見ながら歩いていた。


「どこ行く?アントニオ」


「シャチが見たい」


「まだショーは始まらないよ。じゃああそこ行こうか」



2人が行ったエリアは、エコアクアロームという場所。

水の一生をテーマとして、川の源流から海へと続く水の流れや波の動きを再現し、それぞれの場所に生活する生き物たちを自然な姿で展示している。

房総の川や海の生き物はここで見れるのだ。


展示されている生物は日本で見られる種類のみ。



サケやマスたちが、アントニオを興奮させた。


「すげぇ料理の やりがい がありそうだな!」


「こら、夢見る子もいるんだから、やめな」


ロッシュは近くで目を輝かせて魚を見る子供たちを横目に、彼を注意する。



「いやでも姉ちゃんだってサケの塩焼き食べたいでしょ」

↑アントニオ


「うわぁぁぁん、ママァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ(甲高い声)。

隣のガキがお魚さんたちを食べようとしてるゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!

可哀想ォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」


アントニオの周りの子たちが泣き始めた。



さすがのアントニオも困惑する。


「(年下にガキって言われたんだが)」

「もう別のエリアに行こ…」

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