【童話】クリスマスにサンタは来ない

野口マッハ剛(ごう)

悪い子のところには来ないの?

 あなたは悪い子だから、サンタは来ないわよ


 中学一年生のサッちゃんは、サンタの正体が両親だということを知っている。


 サッちゃんは思春期に入り始めて、いつも両親を困らせていた。


 サッちゃんはサンタなんか信じていないのだ。


 それでも、クリスマスが近づいて、サッちゃんはサンタへの手紙をそっと勉強机の引き出しに忍ばせている。


 サンタへ。わたしは悪い子だから、よその子のプレゼント配りをしてくださいね。


 クリスマスが近づいてきた。今日は23日、サッちゃんは布団に潜り込んで寝ようとする。


 サンタなんか信じていない。わたしは悪い子だから。


 サッちゃんは心の中でそう思った。


 両親が寝静まった時に、窓がガラガラと開く音が。


 サッちゃんはビックリした。泥棒?


 メリークリスマス、サッちゃん、サンタだよ。


 そう言ってサンタの格好をしたおじいさんが部屋に入ってきた。


 今日はまだ23日、サッちゃんはおかしくて笑っている。


 ねぇ、本当にサンタなの? そりに乗せてくれる?


 いいとも!


 サンタはサッちゃんをそりに乗せて夜空を飛んで行く。トナカイは一匹、サッちゃんは夜空から見下ろす町の夜景に感動した。


 サッちゃんは欲しいプレゼントがあるのかな?


 ううん、わたしは悪い子だから要らない。


 サンタはサッちゃんの言葉を聞いてこう答えました。


 そうか。サッちゃんは悪い子なのか。でも大丈夫だ。これを受け取ってほしい。


 サンタはサッちゃんにキラキラ輝く星のネックレスを手渡した。


 え? いいの? わたしは悪い子なのに?


 いいとも! サッちゃんは悪くてもいいんだよ!


 サッちゃんは目を覚ました。手にはキラキラ輝く星のネックレスが。サッちゃんはなぜか涙が出ました。


 ありがとう。サンタさん。


 サッちゃんはそう呟きました。


終わり🎅✨

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