袖笠雨

河村雨季

灯雨







     夜、


     私は土になった。冷たい土になった。


     私は土になって、


     湿った空気、そそがれる雨を、全身に含む。


     静か。


     静かに、私の一部になっていく。


     雨は私をひたひたと打つ。


     それはとても冷たい。


     けれど、私をあたためてくれる。


     小さくてか細い、弱い。だけど確かに私に灯っている。


     夜が明けたら消えているかも。


     だけど私は今を生き永らえている。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る