第13話 飢えた刃物
はっきり言おう、この世界は不平等だ。
全ての命が尊いだとか理解しあうことで仲良くなれるだとかは嘘だ、綺麗事だ、偽善者の言葉だ。
俺には分かる。俺はそれを中学生にして学んでいる。
歩いていて少しぶつかりそうになっただけでも気味悪がられるのが日課。
「ねえー!マジ最悪!ゴキブリマンにぶつかりそうだったんだけど!!」
「空気感染的なやつでバイキンとかついてたりして」
「え!?ヤダヤダヤダきもい!!」
そんな会話を毎日のように聞いている。
だが、そんな俺にも最近楽しみができた。
それは今日も辛い学校を終わらせ帰り道を公園の方へと向かうだけで冒険できるのだ。
お楽しみの手順は簡単だ。まず、公園で一人で遊んでいる子供を見つける。次に周りにその子の親だと思われる人物はいないか確認。コツは小さなリュックだとかカバンを持っている大人がいないかを確認するのがいい。それが終わればあとは話しかけるだけだ。
俺はさっそく最適な少女を見つけると声をかけてみる。
「ねえ」
「え?」
「君、今一人で遊んでるの?」
「うん」
「ダメでしょ一人じゃ危ないよ」
「平気だよ。何かあったらお母さんに言えばいいもん」
予想した通りの会話をすれば、ここからはもう簡単だ。
「そのお母さんが呼んでたんだ、危ないよって。だからお母さんに頼まれて僕が迎えに来てあげたんだよ。一緒にお母さんのところまで行こう」
「そうなの?」
俺は少女の手を無理やり繋いで歩き出した。
最初、少女は警戒をしていたがだんだんと慣れてきたのか俺の歩くスピードに合わせるようになった。
これも計画のうち。
「ねえ、お菓子欲しい?」
「うん!」
「じゃあ目を瞑ってて」
少女は目を閉じた。
もちろんお菓子など持っていない。
俺はそのまま人の少ない狭い道路で少女の首に手を伸ばす。
地面に押さえつけるように体重をかけた。少女は最初は暴れていたが、だんだんと力が抜けていく。
俺はその瞬間が好きだ。
「ふう、、、」
それが終わればあとは家で一仕事するだけだ。
死体を自分の部屋に持っていくと、いつものように少し力めば右手首から刃物が皮膚を破って突き出てくる。
かなり痛い。だがこれはとても便利だ。
このもらった力さえあればバラバラにするなど簡単だ。細切れにしてもいいし簡単に頭を切り落とすのもいい。
この授かった力を使えば自分は無敵だ。この子供を殺すのは娯楽であり練習でしかない。
俺はこの力で俺を見下した連中を殺していく。
絶対に邪魔できるものなどいない、警察なんて怖くない。アイツらに俺を捕まえるなんて不可能だ。
余程のバカではない限り俺に刃向かうなどしないだろう。今の俺を邪魔できるはずがない。だが、もし邪魔するならば、、、。
俺はそいつを全力で殺す。
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