37. もういいじゃない
「これは一体どういうこと!? 二人とも私の大切な両親の名前を出してどういうつもり!?」
泣き出しそうな、怒りだしそうな、悔しそうな、そんなとても複雑な表情をしている。
「ちゃんと説明してよ!」
「ち、ちちち違くてこれは……!」
俺の胸の中にいる
「……」
前世の妻と再会して混乱しているのに、更に前世の娘までやってきてしまった!
俺たちのさっきの会話を聞かれた?
もしかして俺たちが
「ごめん
逆に
「私のお父さんとお母さんがどうしたの!?」
「それは――」
「なんで二人が私の両親の名前を出すのッ!?」
「私、ずっと寂しかった! お父さんとお母さんがいなくなってからずっとずっと寂しかった!」
「
「でも、
「毎日が楽しかったのに……! これからもっと楽しくなると思ってたのに!」
「これはどういうこと!? 何で二人が抱き合ってるの? 何で二人が私のお父さんとお母さんの話をしているの?」
これからもっと……。
心臓が握りつぶされたかと思うくらい心が苦しくなる。
俺は完全に失念していた。
大きくなった娘の成長が見ることが楽しくて、
――この子と一緒に過ごす未来のことを全然考えていなかった。
「……あなた、もういいよね?」
「
その懐かしい声色に、つい声が詰まってしまった。
「よいしょっと」
「どういうこと? ちゃんと説明してよ
「そうね、でも状況が変わったの」
「状況!?」
「良い? 驚かないで聞いてね、
「うん……」
今の俺たちが
「
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「「はい?」」
思いっきりフリーズしてしまった。
あ、あいつ、何の飾り気もなしにあっさりバラしやがった!
「ほら、
ア ホ な の か あ い つ !?
これじゃ、ただの頭がイカれたやつじゃねぇか!
「でね、
「待て待て待てーい!」
思わず、二人の間に割って入ってしまった。
「あなた、もういいじゃない。こうしてまた三人で会えたんだから」
「お、お前ってやつは……昔からあっけらかんと……!」
さっきまで泣いていたくせに、
同じだ! こういうところは前世の頃と全然変わっていない!
「ふ、二人ともふざけないでよっ!」
※※※
「
急いで
「く、くそぅ! 意外に足が速いなあいつ! さすが俺の子!」
「私に似なくて良かったわね~」
「お前はもうちょっと頑張れ!」
さすがダントツビリの女!
「お、お前! あんなにあっさりバラしてどういうつもりだ!」
「もういいじゃない……」
「何がだよ!?」
「私、一人ならずっと黙ってようと思ってた。でも、せっかく親子三人が揃ったんだからもういいじゃない……。私、大切な娘に嘘はつきたくないよ。あなたがいるのに
「そ、それは俺だって――」
そんなの言われるまでもなく俺も同じだ!
今までの勘違いとすれ違いだって、俺が今まで自分が親だということを黙っていたからだ!
「ちゃんと
「
「今は
「そう思うなら早く走れー!
「これ以上は無理だってーー!」
「なんで転生しても足の速さが変わってないんだよ!」
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