31. もしかして……?
単刀直入に聞いてみることにした。
……もし。
もしそんな奇跡が起きているかもしれないのだったら、例え可能性が一パーセントでも賭けてみたくなる!
あいつにもう一度会えるなら、どんな可能性でも信じてみたくなる!
「うちのクラスに
「いねーよ!!
だぁああああ!?
素っ頓狂な答えが返ってきたのでつい声が裏返ってしまった!
もうこいつのその手には惑わされないぞ。
「前世! ぜ・ん・せ! 前の人生ってやつ!」
「どちらかというと信じない」
がぁあああああ!
俺の淡い希望はあっさりと打ち砕かれた!
「そ、そっかぁ」
「なんであからさまにがっかりしてるのよ」
「別に……」
「――まぁ、前まではそう思っていたんだけど最近はそうでもないないのかなって思ってるよ」
「どういうこと?」
「絶対ってことはないんだなぁって」
「まどろっこしい」
「うるさいなぁ」
じゃあ結局どっちやねんと言いたくなってしまう。
「もし、会えないと思ってた人に会えるとしたらそんなに素敵なことってないと思わない?」
「……」
「な、何よ! 急に無言になって」
「もし、ないならないってはっきり言ってほしいんだけどさ」
「うん?」
「“体育祭に屋上で告白“に心当たりない?」
「へっ?」
俺の言葉に
「ちょ、ちょっとー!!」
あーー!
俺と
「こ゛ばる゛ぢゃぁあん゛!!」
「そ、そんなに泣くことないでしょう!」
「油断するとこれなんだからーー!」
「べ、別に
「今、二人だけの空気流れてたもん!」
「えっ?」
ちらっと
「そ、そう?」
「ほらーー! 何かいつもと空気が違う!」
「こ、
「
「ほら!
「お、おう」
「じゃあね
「……」
※※※
先日、オフクロが
幼稚園のときからずっと一緒で、実家が近かったということもあり小学校のときからずっと一緒に登下校していた。
その度に妻の兄の
俺はとりわけ朝が弱かったので、いつも二人を待たせていたっけなぁ……。
その度に親父とオフクロにどやされて。
兄妹がいない俺にとって、二人は本当の家族みたいなものだった。
そんな幼少期を過ごしていたのだが、その関係がはっきりと変わったのが高校一年一学期の体育祭だ。
ちょうど今、
(た、体育祭終わったら屋上に来てよ)
(えっ、何で? 俺ヤキでも入れられるの?)
(そんなわけないでしょう!)
あの日、
俺のことを弟のように可愛がってくれていた
俺に
ちなみ
「体育祭までもう少しか……」
自分の部屋に飾ってあるカレンダーを眺める。
変な言い方だが、高校一年生で過ごす二度目の体育祭。
体育祭なんて楽しみでも何でもないのに何故か胸の鼓動が収まらない。
ただ漠然と何かが起きる予感がしていた。
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