30. 前世って信じる?
それから一ヶ月ほどが経ち、月は七月に差し掛かろうとしていた。
「
「
「えー! たまには
この一か月は、
オフクロからは、時々救援物資が送られてきたがそれらはもちろん全て廃棄処分している!
……一つだけ変わったことがある。
俺は
授業中つまらなさそうにしている仕草も、時々はにかむように笑う表情もどこかアイツに似ているような気がしてしまっている。
そして、何よりも……。
その時の優しい表情がどうしてもアイツとダブってしまう。
気のせいかもしれない。
ただの勘違いかもしれないが、心の奥底でアイツと
「じゃあね
「うん。家についたら連絡してね。
俺は
※※※
「もしだけどさ」
「ん?」
放課後デートの最中に、
「
「お父さんとお母さんが?」
俺の質問に
「えへへへ。そりゃいっぱいあるよ」
「そっか」
「きっと楽しかったんだろうなぁ。お父さんとデート行ったり、お母さんと買い物と行ったり」
「お父さんとは普通はデートに行かないと思うけど……」
「えー! いいじゃん! なんか憧れるなぁそういうの!」
「……きっとお父さんが生きてたら
「?」
俺の言葉の意味が分からず、
「どうしたの?
「ちょっと聞きたくなっちゃって」
「えへへへ。私に興味もってもらえるの嬉しいなぁ」
「俺はいつでも
「えっ」
琴乃の目が急にきゅぴーんと輝き出した!
「本当!?」
「本当だって! だからいきなりくっつくなって!」
「色々教えてあげるからね!」
し、しまった! また余計なことを言ってしまった!
自分で
「そ、それで
その場を誤魔化すためにそんなことを
「お母さん?」
「お父さんの話はよく聞くなぁと思ったけど、お母さんの話ってあんまり聞かないから」
「そんなにお母さんのこと話してなかっけ?」
「うん」
「私、あんまりお母さんのこと好きじゃなかったから」
「えっ」
初めてそんなことを
その言葉に、頭をハンマーで殴られたみたいにショックを受けてしまっていた。
「な、なんで?」
「お父さんの奥さんだから」
「は?」
「お父さんの奥さんには勝てっこないでしょ?」
奥さんも子供も唯一無二なものであって、そこで勝負するようなものじゃないのに。
「だから私、お母さんのことはずっとライバルだと思ってたんだ~。あははは」
「ライバルって……」
「ね? おかしいでしょ?」
※※※
「
「
「
まるでバリアでも張られたみたいに
――そんなこんなでずっと機会を逃していたのだが、六月最後の放課後に絶好のチャンスが到来した!
「
「あーー!」
「ごめん!
「いや、待ってるよ」
「それは悪いから……」
「いいからいいから」
俺と
「
「えへへへへ」
く、くそぅ……!
そりゃあんなに
他の人に言われると、尚ダメージがでかくてガクッと力が抜けてしまった。
「じゃあ
すっかりその言葉に気を良くした
「はぁ……」
この混沌とした状況についため息が出てしまう。
「そ、そうだ!」
そうこうしている場合じゃない!
「こ、
「何よ、そんなに焦って」
帰り支度をしている
「ちょっと話したいことがあるんだけど!」
「話したいこと?」
「うん、ここではなんだから少し屋上でもいかないか?」
「え゛っ!?」
「ま、まままま待ってよ! あなたには
「そうなんだよ!
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
「いいから!」
「良くないわよ! ここで話は聞くから!」
「あんまり人がいないところで話したいんだけど……」
「ダメだって! ダメダメ! お互い好きな人がいるのにそんな不貞が許されるわけないでしょう!」
またしても
「じゃあさ、笑わないで聞いて欲しいんだけど」
「そ、そんなことで笑わないわよ!」
「真剣に聞いてくれる?」
「だから聞くって!」
「あのさ
「うん」
「前世って信じる?」
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