Gloom
ゆきのともしび
Gloom
She only eats fruit and nuts.
She looks across at the dark-coloured food made for humans,
Grapes and chestnuts in her hands, she walks at a brisk pace.
Her body is small, but she can ride a bicycle,
She can think up stories,
She can even take a man's growing penis into her body.
Blood flows through her body.
At night, a man's hardened penis passes through his trembling vagina.
The blood that flows through the man's body concentrates in the penis,
colour like the abyss of hell.
The man eats only animal flesh and chocolate.
She cannot have an orgasm.
With her mouth open, she imagines nuts and a piano sonata played by Gould.
No,7 second, Largo e mesto
She kisses the man, thinking of his fingertips and profile.
Quickly, quickly, will this world end?
Her body is cold.
彼女はくだものと木の実しか口にしない。
にんげんのためにつくられた色の濃い食べ物を横目に、
ぶどうと栗を手にして、足早にあるく。
彼女のからだは小さいが、自転車にだってのれるし、
物語を考えることだってできるし、
にんげんの大きくなったペニスを体内に取り込むことだってできる。
彼女のからだにながれる、血液。
夜、おとこの硬くなったペニスが、ふるえるヴァギナを通り抜ける。
おとこのからだを流れる血液がペニスに集約し、
地獄の淵のような色をしている。
おとこは、どうぶつの肉とチョコレートしか口にしない。
彼女は、オルガズムを迎えることはできない。
口をあけたまま、木の実と、グールドの弾くピアノソナタを想像する。
No,7 second, Largo e mesto
彼の指先と横顔を考えながら、彼女はおとこにキスをする。
はやく、はやく、この世界がおわってくれないだろうか。
彼女のからだはつめたい。
Gloom ゆきのともしび @yukinokodayo
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