第6話 欲と修行

『なんでもする...?』


秋はディスのその言葉を話す顔があまりにも悪徳業者の顔過ぎて引いた。



『なんだよディス、何かして欲しい事があれば俺に言えよ!』


秋は動揺を抑えながらそう言った。



『じゃあ、修行に付き合う代わりとして...

一回秋の体、乗っ取っていいかい?』




!?



秋は何を言っているのか分からなかった。

そもそも目的も分からない、いや、分かったところで貸したくない。



秋は念の為その目的を聞こうとした。

もしかしたら乗っ取る事が修行と何か関係があるのかもしれないと考えたからだ。



『いや、何のために俺の体乗っ取りたいの?

修行と関係があるのか?関係あるならいいけど...』



ディスは訳を話した。



『いやぁな、秋お前かっこいいからのぉ。

人間界に明日行く時、秋の体で降りて、

ちょっと大人のお店にでも行こうかなぁと...。儂の人間に化けた姿だと、おじさんだからモテないし...さっきのセツナみたらなんだか儂も遊びたくなってしまったのじゃよー🎵』



元気な年寄り神だと、秋は口を開けて呆れるばかりだ。



『だったら、この世界で遊べば良いだろ!

セツナもいるし、女の子もさすがにいるはずだろ...?』


わざわざ人間界で女遊びする理由がわからない。



『いいか、秋。この世界の女の子とは大人の関係は結んではいけないぞ。結んでしまうと万が一ラスボスを倒したとしても、お前の念が女の子の魂に入ってしまって、この世界から一生出られなくなってしまうぞ。今までの苦労も全部無駄じゃ。だから儂は人間界でしっかり遊ぶんじゃ。』



ディスは先程までのヘラヘラした口調から一転、真剣な眼差しで秋にその言葉を伝えた。


まさかの発言に秋は落胆していた。




『まじかよ...。セツナとあわよくばあんな事やこんな事出来るかと思ってたのに...。』



ここには欲に塗れた男しかいない。



『まあ、体を貸してる間は儂の身体能力を使えるから敵に万が一襲われたとしても大丈夫じゃ!』



『そしたら今日、明日は宿でゆっくり休むわ。』



休息が必要なのはどこの世界でも一緒。




『そうじゃな。明後日から儂のスパルタ修行じゃ。まあ1日あればなんとかいけるじゃろ。』



ディスには何か秘策がある様だった。



そして、秋達は宿でその日は休み、

次の日ディスは人間界で秋の体を借りて、

それはもう心ゆくまで欲を解放したのであった。



そしてディスがこの世界に戻ってきた。




『秋ー、体貸してくれてありがとう。

お陰であんな事やこんな事まで体験出来て、

儂はもうウハウハじゃよ。』



秋は自分の体で一体何をどうしたのか、興味と不安で混じっているがあまり突っ込まない方が良さそうだったので、体をさっさと返してもらった。



『お、おぅ。楽しんだなら良いよ。

そしたら、早速修行だな。どこで何をするんだ?』



『儂が今から出す練習台がある。

その台をひたすら打って、大当たり100回を目指すのじゃ。この台は“ハヤブサ”通常確率は1/199、大当たり後には50%の確率で突入する

ハヤブサRUSHで100回のST中に、1/45を引くのじゃ。RUSH継続率89%で、爽快感のある当たりが魅力の台じゃ。ただ、RUSHに入らなかった時は時短が50回付く、時短突破率は22%。練習台としてはやりやすいじゃろ。』



秋は爽快感のある当たりが脳汁バッシャーとなるタイプなので心をときめかせる。



『面白そうな台じゃん。おれの能力が上手く発現できれば連チャン間違いなしだ。』



『ただし!当たり回数もさる事ながら、

球を入れる為の魂の大きさを拡張する事も課題じゃ。この世界で魂を拡張するには、ひたすら球を打ち込んで、スタート回数を重なるのじゃ。モンスター討伐ももちろんじゃが、スタート回数はこの世界では経験値としてカウントされる。目標はまず250回転させるのじゃ。そして、練習台じゃから魂の消費は無く出来る。今の秋の魂の消費では200回転が限界じゃ。これを400回転までいける様に今日中に仕上げるぞ。』



ディスからの説明を受けた秋はこれから自分がどれだけ過酷な訓練を行うのか、まだ漠然としか理解出来なかった。



続く

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