挑戦状

 今日は祝日。つまり、小学生は朝早く起きる日だ。なぜなら、見たいアニメがてんこ盛りだからだ。もちろん、私も例外では無い。

「……おはよー」


「おはようございます、雪絵様」


「………お兄ちゃんは?」


「お兄様は今朝早くに出発なされました」


「そっか……朝ごはんおねがい……」


「承知しました」








 机に向かい、朝ごはんを食べる。今日のメニューは、フレンチトーストとコーンスープだ。寒い朝には、コーンスープがよく沁みる。


「………東さん。サンタさんへのお手紙って、まだ間に合うかな?」


「大丈夫ですよ。レターセット、お持ちしましょうか?」


「うん。アニメ見終わったらお手紙書く」


「承知しました」








 朝ごはんを食べ終え、お待ちかねのアニメ鑑賞だ。ソファーに座り、大画面のテレビで食い入るように見る。隣にはモフが、礼儀正しくお座りをしている。









 1時間もすると、お目当てのアニメも見終わった。途中、東さんが出してくれた紅茶を飲みながら、今度はプレゼントに頭を悩ます番だ。



 今年は何をプレゼントしてもらおうかな。



 うーん…………お化粧セットにしようかな。いや、それともアクセサリーにしようか。可愛くなって、お母さんとお出かけするのも楽しそうだ。………猫もいいな。お父さん、猫のこと好きって言ってたし。猫じゃらしとかあれば、お家でお父さんと遊べるかも……………



 うーん…………なににしよう。



「……………東さーん」


「はい。如何なさいましたか?」


「……サンタさんって、なんでもくれるんだよね?」


「はい。雪絵様のお願いなら、きっとなにでも大丈夫ですよ」


「なんでも…………」


 じゃあ、わたしは──────────








「……書けましたか?雪絵様」


「うん!これ、サンタさんに渡しといてね」


「承知しました。…………そういえば、雪絵様宛にお手紙が届いていましたよ。お持ちしますね」


「お手紙?なんだろう………」



 そう言って、東さんが持ってきたお手紙には、宛名も書いてなければ、切手も貼っていない。なんだか変なお手紙だ。



「誰からだろう?」


 ドキドキしながら開けてみると中には………












  ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎挑戦 ︎︎じょう




  ︎︎ ︎︎12月 ︎︎の ︎︎24日 ︎︎の ︎︎24 ︎︎時


  ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎娘 ︎︎の ︎︎大切 ︎︎な ︎︎もの ︎︎を


  ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎この ︎︎怪 ︎︎盗 ︎︎サンタ ︎︎から


  ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎守 ︎︎っ ︎︎て ︎︎みせ ︎︎ろ





  ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎ ︎︎怪 ︎︎盗 ︎︎サンタ ︎︎より











 と、新聞の切れ端で記された手紙が、一通入っていた。



「……東さーん、なんか変なのが入ってる」


「ん?どれどれ……………!雪絵様。このお手紙、お預かりしても宜しいですか?」


「いいよ。はい」


「ありがとうございます。………クッキーお持ちしますね」


「やったー!」


「少々お待ちを。………………静江しずえ、お父様に電話だ。喜多見きたみ、みんなを集めろ。急げ」


 東さんの声を合図に、みんな忙しなく動き始める。なにかあったのかな?

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