あらすじ

 美容師である來と人気モデルの也夜。二人は男性カップルであり、結婚という形ではないがパートナー制度で周りの目も気にしながら壁を乗り越えて家族の同意も経て、晴れて結ばれることになったのだ。

 結婚式も控えてさらなる幸せに向かって進んでいく。

 そんな幸せになれるはずだった二人を引き裂いたのは、結婚式前夜。也夜が事故にあってしまったのだ。

 也夜は電話で友人に呼ばれて出て行ったのだが、來は突然の誘いの電話になぜそれを引き止めなかったのか、誰と会う予定だったのか聞かなかった來は後悔ばかりをする。

 也夜は意識を取り戻すことはなかった。


 しかも結婚届を出せないだけで、來は家族として認められないため見舞うこともできない。


 結婚を認めてくれた也夜の父母も意見を覆して実は結婚を実は認めていなかったと言われ來のショックはさらに続く。


 それから二年が経ち、後悔と悔しさと色んな感情で自暴自棄を重ねながらも、同じ同性カップルの李仁と湊音や、元彼の大輝など周りの助けや仕事に専念するためにアイドルライブの現場に向かった際に担当した地方アイドルの女の子、リカとの男女の関係になりかけるがやはり自分の心はやはり違った。

そういう経緯もあったが自分の新しい人生を進もうと歩んでいた。

 しかしやはり頭の片隅には也夜がいる。

 そして來は自分で店を持つことに。彼自身夢というものがなく、ただの美容師止まりだったが一人になった今、店を持つ方が良いと言われ、それに援助してくれる資産家の男、分二に出会い、彼とも関係を持ち店を開くことになった。

 そんな中、也夜の妹が現れて彼女が來と也夜を繋いでくれる唯一の存在であった。

 その彼女の目的は來であった。しかし來は知らずして彼女を自分の新しい美容院で働かせる。

 そして突然の也夜の目覚め。

 分二と付き合い始めて間もなかったため複雑な気持ちになる。

 実は也夜も妹の気持ちを知ってて、自分たちが社会的に結ばれない、祝福されにくい立場だと知って妹と也夜の幸せのために付き合わせようとしていたことを、知った來。

 そしてもう一つ、也夜が結婚式前夜に会おうとしたのは分二だった。しかも分二は也夜の元恋人だった。しかも也夜は地下アイドルで無理をしていたこともあったが分二の支えでやっていた。しかし過剰な分二の愛に耐えられずにモデルに転身した経緯があったことを知る。

 しかし結婚式の前に元彼に再会しようとしたなんてと信じられなくなる來。也夜にさえも。

 それを知られた也夜は自分から身を引くことにした。もうこれ以上來を傷つけてはいけない。それが互いのためだと渡米したのだ。


 数年後、來は店を閉じてフリーで美容師として全国に飛び回る日々。分二との交際もダラダラと続けている。

 そして也夜の妹が結婚することになった。彼女のメイクを手掛け、來にメイクをしてもらうことに複雑な気持ちになりつつも來の成長は周りから見ても目に見えるほどであった。


 そこに也夜が帰国してきた。社会の目から色物として見られた二人は長い年月を経て再会する。その後二人はどう進んでいくのか、それはわからない。


 ボーイズラブ、だが現代の同性婚ができない苦しみに巻き込まれた二人を描いています。

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(第8回富士見ノベル大賞)君のことを忘れたいから少し遠回りしてみた 麻木香豆 @hacchi3dayo

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