狂言綺語を風上へ

架空の出来事と虚飾とで彩られた言葉が、だめだという。

なぜなら嘘だから。真実ではないから。真理を諭す仏典とは対極にあるものだから。

 

だめだと言われたら、逆に興味が湧く。

あれは嘘だよと言われたら、その言葉こそ嘘かもしれないと疑う。

私は天邪鬼を飼っている。


教科書に記された歴史の裏側を知りたい。行間に省略されている出来事を覗きたい。名もなき人々、が名前を持っていたことを忘れたくない。


現実は重く、虚飾は軽い。

だというなら軽いほうがいい。

事実をありのまま書いているものよりも、ファンタジーに落とし込んであるほうが真実のように感じる。


重そうに見えて、やっぱり重かった、は期待どおり。

重いと思ったのに軽かった、は肩透かし。

それらも悪くはないけれど。

軽さを装って、実は重かった、というのが好き。


その重さが取り除かれるのはもっと好き。

 


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