Fighting Nurse ~ケースA_蓮沼瑞穂の場合~

Danzig

第1話

Fighting Nurse(ファイティング・ナース)

ファイルA

蓮沼 瑞穂(はすぬま みずほ)のケース。



蓮沼:(M)ここは、汐崎(しおざき)総合病院、個人経営の中規模な大きさの病院。

蓮沼:(M)見た目はごく普通の病院だけど、ここには特殊病棟があり、この特殊病棟に入院する人間はみな、ちょっと特殊なやつばかり・・・


(院長室での会話)


蓮沼:今日、うちに入院患者が来るんですか?

蓮沼:へー、で、今回はどんな・・・・え? チンピラ?

蓮沼:普通のチンピラがうちに来るんですか? ・・・そうですか・・・



蓮沼:(M)院長からは、詳しい事情は教えて貰えなかったが、なんでも警察からの依頼があったという事らしい

蓮沼:(M)犯罪関連の患者なら、普通は警察病院に入院させると思うんだけど・・・

蓮沼:(M)そう思ってたところへ、患者が運ばれてきた。


佐藤:放せよ、放せっつってんだろが!

佐藤:痛ててて・・・痛てぇだろうが! 気安く俺に触るんじゃねぇよ、向こう行け、クソが!



蓮沼:おやおや、今度の患者さんは随分元気がいいんだね。

(患者を運んできた救急車の隊員に向かって)


蓮沼:患者の搬送(はんそう)ご苦労様です。

蓮沼:後はこちらでやりますから、もう大丈夫です。

蓮沼:ええ、連絡簿も私が預かっておきます、はい、有難うございました。


蓮沼:さて、じゃぁ患者さん、早速病室に行こうか


佐藤:何だよてめぇは


蓮沼:私はここの看護師だよ

蓮沼:ここでは私が、あんたの面倒を見るのさ

蓮沼:しかし、拘束器具(こうそくきぐ)を付けられて搬送(はんそう)だなんて、あんた、随分暴れたんだね。


佐藤:うるせぇ!


蓮沼:まぁいいさ、ここでは大人しくしてなさいよ

蓮沼:さぁ、病室まで連れて行こうか、このストレッチャーのままでね


(ストレッチャーを動かす蓮沼)


佐藤:ちょっ、どこに連れて行くんだよ

佐藤:ここから降ろせよ! おい、聞いてんのかよ、降ろせって


蓮沼:病室に着いたら降ろしてあげるさ


佐藤:てめぇ、こんな事してタダで済むと思ってんのかよ、おい、聞いてんのか、ごらぁ 降ろせ!


(病室につく)


蓮沼:さぁ、着いたよ。 ここがあんたの病室。

蓮沼:自分でベッドに移動できるね


佐藤:出来ねぇ、


蓮沼:どうしてさ、ストレッチャーを、ベッドの横に付けてあげてるんだから、そのまま横に移動するだけだろ?


佐藤:出来ねぇっつってんだろ、俺は怪我人だぞ、お前が俺を抱きかかえて、ベッドまで運べよ


蓮沼:あっそ、じゃぁ、このまま転がすけど、それでいいんだね。


佐藤:チッ! 

佐藤:分かったよ、自分で移動すりゃいいんだろ。

佐藤:じゃぁ、自分で移動するから、まず、この拘束器具を外せよ


蓮沼:外すのはいいけど、暴れるんじゃないよ


佐藤:分かったよ、分かったから外せよ


(拘束器具を外す蓮沼)


蓮沼:ほら、取れたよ、これで動けるだろ


佐藤:ふー、やっと外れたぜ、窮屈(きゅうくつ)な想いさせやがって・・・

佐藤:へへへ、器具が取れりゃこっちのもんよ

佐藤:おめぇにも世話になったな、これはそのお礼だ!


(看護師に殴りかかる佐藤)、


佐藤:痛たたたたたた・・・

佐藤:何すんだよ!、放せ・・・たたたた・・・


(パンチをかわされ、逆に腕をひねられる)


蓮沼:さっき、暴れるなって言っただろ?

蓮沼:それに、女に手を上げるなんて、あんた最低だな


佐藤:人の手を捻(ひね)り上げといて、何言ってやがる


蓮沼:何? これじゃ足らないのかい?


(もっと捻り上げる)


佐藤:痛い痛い痛い痛い・・・おい、それが、怪我人に対する態度かよ


蓮沼:怪我人なら、怪我人らしく、ちゃんとベッドに移動しなさい


佐藤:分かったよ、分かったから、放せよ


蓮沼:放したらちゃんとベッドに行く? ん?


佐藤:痛たたた・・行くよ、行くから、放してくれよ


蓮沼:・・・ほら


(手を離す蓮沼)


佐藤:・・・・


蓮沼:放してあげたんだから、大人しくベッドに行きなさい


佐藤:チッ、分かったよ・・・よっ・・と・・


(ベッドに寝転ぶ佐藤)


蓮沼:そう、そうやって大人しくしてるんだよ


蓮沼:えーっと、これが、連絡簿(れんらくぼ)だね・・・これによると・・・なになに

蓮沼:佐藤健太(さとうけんた)、28歳・・無職

蓮沼:で・・・怪我は、全身打撲と、左足骨折か・・・

蓮沼:これは、階段から転げ落ちたってとこか


佐藤:ふん、放っとけ


蓮沼:ところで、あんた、何やったのさ


佐藤:何って何だよ?


蓮沼:あんたは、もともと警察病院に行くはずの患者だったんだよ。

蓮沼:そういう人間は、大概(たいがい)何かやらかしてるし、ここに来る患者は、それに加えてもっと変な事情を抱えてる人間が多いのさ


佐藤:知らねぇよ


蓮沼:ふーん


佐藤:何だよ


蓮沼:別に話したくなけりゃ、話さなくてもいいさ、個人情報ってやつだからね。

蓮沼:でも、ここは病院

蓮沼:黙ってちゃ、助かるもんも助からなくなる事だってあるんだよ


佐藤:・・・・・


蓮沼:まぁ好きにすればいいよ


佐藤:・・・あんた、変わった看護師だな


蓮沼:そう? ごく普通の看護師でしょ


佐藤:んな訳あるかよ・・・・ところで、あんた名前は?


蓮沼:私? 私は蓮沼(はすぬま)、胸のバッチにもそう書いてあるだろ?


佐藤:へー、はすぬ・・・痛たたたたた


蓮沼:女性の胸に気安く手を伸ばすんじゃないよ


佐藤:たたたた・・・わかった、わかったよ


蓮沼:ったく


佐藤:ふーててて・・・

佐藤:へへへ、「蓮沼」だな、覚えたぞ


蓮沼:あそ、そりゃ、どうも


佐藤:ふん、今のうちにせいぜい強がってるがいいぜ、

佐藤:俺に手を出したらどうなるか、そのうち思い知る事になると思うぜ、蓮沼さんよぉ


蓮沼:おー、怖い怖い、怖いから思わずフラフラしちゃて・・・


佐藤:痛たたたたた、何しやがんだよ


蓮沼:おや、怪我した場所だったね、ごめんごめん

蓮沼:つい怖くて、ふら付いちゃった


佐藤:チッ・・・白々しい

佐藤:おめえ、覚えてろよ



(その日の夜、夜道を歩く蓮沼)


蓮沼:じゃぁお先に失礼します

蓮沼:あー、ようやく帰れるよ、今日は遅くなったから、コンビニで何か買って帰るかな


(物陰から出てきた男に囲まれる


蓮沼:ん?ちょっと・・何? あんた達、物陰からもそもそ出てきて

蓮沼:道を塞いだら通れないでしょ・・・邪魔だからどいてくんない?

蓮沼:え? 確かに私は蓮沼だけど、どうして私の名前を知ってるのさ・・

蓮沼:1,2,3、・・・6人で寄ってたかって女性を囲むなんて、どういうつもり?


(次の日)


西村:佐藤さ~ん、朝の検温ですよ


佐藤:あぁ・・


西村:はい、じゃぁこの体温計を脇に挟んでくださいね。


(体温計を脇に挟む佐藤)


佐藤:そういえばよぉ、蓮沼っていう看護師はどうしてる?


西村:蓮沼さん? まだ交代時間じゃないので来てませんよ?


佐藤:へへへ、そうかい、だが、蓮沼っていう看護師は、今日は来ねぇと思うぜ


西村:あら、どうして分かるんですか?


佐藤:昨日の帰り道で、俺の仲間達に囲まれたはずだ、今頃、どこかの病院か、ひょっとしたら、その辺りで死んでるかもな


西村:まぁ、可哀想に・・・


佐藤:だろ?

佐藤:あんたも痛い目に会いたくなかったら、俺に逆らわない方が身のためだぜ


西村:いや、可哀想というのは、あなたのお仲間の方よ


佐藤:何・・・おめぇ何言ってやがる、こっちは何人もいるんだぞ、あいつが幾ら強いからって・・・


蓮沼:佐藤さ~ん、朝の注射のお時間ですよ


佐藤:何・・・蓮沼・・・どうしてお前が、ここにいるんだよ


蓮沼:どうしてって、これが仕事だからね


佐藤:そうじゃねぇよ、お前、昨日男達に囲まれたはずだろ・・・


蓮沼:あぁ、あれはやっぱりあんたの仕業だったのか

蓮沼:どうせ、そんな事だろと思ったよ

蓮沼:その連中なら、今頃は、どこかの病院にいるだろうね


佐藤:そんな馬鹿な・・・


蓮沼:さて、まずは携帯電話は没収させてもらおうかな


佐藤:あ、何しやがる、返せよ!


蓮沼:ここは病院だから携帯電話は禁止

蓮沼:退院の時に返してあげるさ、麻里(まり)、これ持って行って頂戴


佐藤:ちょっ・・待て、返せって!


蓮沼:さてと・・・


佐藤:な・・・何だよ・・・


蓮沼:悪戯(いたずら)をするような悪い子には、注射の前に、昨日のオイタのお仕置きをしなきゃね

蓮沼:二度と、こういう事をしようと思わないくらいにね


佐藤:ちょっと待て・・・待ってくれよ・・・悪かった、悪かったって


蓮沼:ダメだね、あんたのようなチンピラは、身体で分からせないとな


佐藤:そんな・・おい、そこの看護師さん、助けてくれよ

佐藤:ちょっと看護師さん、どこ行くんだよ・・・・行くなよ・・助けてくれよ


蓮沼:さて・・・大人しくしてなさい


佐藤:痛たたたたた・・・ひぃ・・・助け・・・痛い痛い痛い痛い・・


(その少し後、すっかり大人しくなった佐藤の包帯を変えながら話をする二人)


蓮沼:はい、次はそっちの腕の包帯変えるから


佐藤:あぁ・・・


(包帯を変える蓮沼)


蓮沼:で、あんたは運び屋をやってたの


佐藤:あぁ・・


蓮沼:それで、やばい物運んで、警察に追われたと


佐藤:あぁ・・・それで逃げる時に階段踏み外しちまってよ・・・このザマだよ・・


蓮沼:そういう事か・・・

蓮沼:まぁ、お説教をする訳じゃないけど、なんでそんな仕事をしたのさ


佐藤:金が要るんだよ・・・結構な額の金が


蓮沼:どうしているのよ


佐藤:うちのチームの家族がよ、何か難しい病気になっちまったみたいでよぉ

佐藤:その治療費に・・・

佐藤:俺、チームのリーダーだし、俺が稼(かせ)いでやらないとと思って・・・


蓮沼:へー、案外いいとこもあるんだね。

蓮沼:はい、包帯おわり!


(ぺちっと叩く)


佐藤:痛っ・・・もっと優しくしてくれよ


蓮沼:あんたが全部話したら、もう少し優しくしてあげるよ


佐藤:全部ってなんだよ・・・話したじゃねぇかよ


蓮沼:ふーん


佐藤:何だよ、ふーんって、俺が何を隠してるって言うんだよ


蓮沼:そんな程度の話なら、あんたは今頃、警察病院にいるんだよ

蓮沼:この病院に来たって事は、もっと他に理由があるって事


佐藤:し、知らねぇよ、そんな事・・・

佐藤:例え知ってたって・・・言わねぇから・・


蓮沼:あっそ、まぁいいさ、私には関係ない事だしね

蓮沼:まぁ、あんたは大人しく、治療に専念するんだね。


佐藤:あぁ・・・分かってるよ・・・



(そして、その日の帰り)


蓮沼:じゃぁお先に失礼します

蓮沼:んー、今日は久しぶりに早く帰れるし、帰ったら録りためておいたドラマでも見るかなぁ


(帰り道、数人の男に囲まれる)


蓮沼:ん? 何よあんた達、いきなり現れて・・・

蓮沼:それに、みんな同じような恰好して・・気持ち悪い


蓮沼:この前のチンピラとは違いそうだね・・・それに、どう見ても堅気(かたぎ)な商売には見えないけど


(男が蓮沼に話しかける)


蓮沼:え? 佐藤健太(さとうけんた)?

蓮沼:その人がどうかしたの?


(男が話す)


蓮沼:うちの病院に居るかって?

蓮沼:あのね、私達看護師には『守秘義務(しゅひぎむ)』ってのがあるのさ

蓮沼:その人を知っているかどうかも言えないね


蓮沼:ちょっと、何よ、放しなさいよ・・・


(数分後)


蓮沼:ふー・・・あぁーあ、服が汚れちゃったじゃない、ったく

蓮沼:でも、何となく黒幕っぽいのが分かって来たな。

蓮沼:それにしても、うちの院長、この事知ってたな・・・あのタヌキめ・・・


(次の日)


蓮沼:佐藤さ~ん、検温のお時間ですよ


佐藤:なんだよ、まだそんな時間じゃないだろ?


蓮沼:あんたに聞きたい事があって来たんだよ


佐藤:なんだよ聞きたい事って・・・俺はもう何も話す事なんてねぇぞ


蓮沼:あんた、運び屋で何運んだのさ


佐藤:知らねぇよ、中身は見るなって言われてたし


蓮沼:あそう・・・

蓮沼:で、仲間の家族の治療費って幾ら必要なの?


佐藤:そんな事、お前には関係ねぇよ、幾らだっていいだろ


蓮沼:最初に言っただろ、黙ってちゃ、助かるもんも助からなくなるって


佐藤:・・・・


蓮沼:いくら?


佐藤:・・・三千万


蓮沼:へ、結構いるんだね・・・で、運び屋の報酬は?


佐藤:・・・一千万


蓮沼:その一千万円は貰えたの?


佐藤:あぁ現金で貰った


蓮沼:じゃぁ、あと二千万円足らないね


佐藤:・・・あ・・あぁ・・・


蓮沼:それで、運び屋の荷物に手を付けたの?


佐藤:俺はそんな事・・・


蓮沼:昨日の夜、私はマフィアみたいな男達に囲まれたんだよ

蓮沼:奴ら、あんたを探してたよ


佐藤:そんな・・・


蓮沼:取ったんだね?


佐藤:・・・あぁ・・・


蓮沼:中身は何だったの?


佐藤:・・・・それは・・・


蓮沼:中身は?


佐藤:・・・宝石・・

佐藤:バレるとは思わなかったんだよ、ケースの中にぐちゃぐちゃに入ってたし、

佐藤:麻薬とかだったら、俺達が持ってたって売れねぇけど、宝石なら何とかなるかもって・・・

佐藤:一番・・・小さい奴を・・・


蓮沼:そう・・・

蓮沼:それで、それは今どこあるの?


佐藤:それを聞いてどうすんだよ


蓮沼:返すに決まってるでしょ


佐藤:何言ってんだよ、折角苦労して・・・


蓮沼:あんたマフィアに命狙われてんだよ、このままだと殺されるんだよ


佐藤:それは・・・


蓮沼:さっき、院長室に行って、院長から話を聞いて来たよ。

蓮沼:警察もマフィアも、あんたが荷物の中身を盗んだ事を、知ってるってさ。

蓮沼:あんたが警察病院じゃなくて、ここに来たのはね、あんたを餌(えさ)にしてマフィアを炙(あぶ)り出す為だったんだよ。


佐藤:そんな・・・嘘だろ・・・


蓮沼:警察もマフィアも、あんたの命なんてどうでもいいのさ


佐藤:・・・・


蓮沼:このままその宝石が出て来ないと、あんただけじゃなくて、あんたのチームや、その家族にまで手が伸びるよ

蓮沼:そうなると、誰かが死ぬかもしれないけど、あんたは、それでもいいの?


佐藤:・・・それは・・・


蓮沼:宝石はどこにあるの?


佐藤:・・・でも・・・


蓮沼:そんなに時間はないんだよ


佐藤:・・・サ・・サンエイデパートの・・・地下駐車場・・・


蓮沼:(M)私は、佐藤健太(さとうけんた)の言った場所から、宝石を探し出し、院長室へと向かった


蓮沼:はい院長、これがお目当ての宝石。これを手に入れるために、佐藤健太をうちに入院させたんですよね?


蓮沼:これ、パチンコ玉より少し大きいくらいですけど、これってダイヤですよね? 10カラットはあるかなぁ・・・

蓮沼:売ったら1億は下らないですよね?

蓮沼:これが無事に帰って来たとなると、院長も、さぞ警察に貸しが出来るんでしょうねぇ・・・・


蓮沼:さて、

蓮沼:ではこれを探し出した善良な市民と、この事を私に隠してた貸しとして、ご褒美をいただけますか?

蓮沼:でないと、このダイヤ・・・どこかに落としちゃうかも・・・

蓮沼:それか、パチンコ玉に混ぜて、パチンコしてみたら面白いかもしれませんね。



蓮沼:フフフ、そうですか、そうですよね♪

蓮沼:それじゃ、三千万円の治療の手配をして下さい。

蓮沼:どうやら、お金がかかる病気の患者さんがいるみたいなんで。

蓮沼:なぁに、病院同士のコネを使えば、もっと安く済むでしょ、フフフ


蓮沼:ええ、それは勿論、分かってますよ。

蓮沼:その代わりに、今からそのマフィアの所に行って、この件は諦めろって、キッチリ釘を刺して来ますから



蓮沼:(M)そして、それから間もなく、佐藤健太(さとうけんた)は警察病院に転院する事となった



蓮沼:じゃぁ元気でね、警察病院に行っても暴れるんじゃないよ


佐藤:あぁ・・・

佐藤:あんたには、いろいろ世話になったな


蓮沼:それが看護師の仕事だからね。


佐藤:いや、そうじゃねえよ

佐藤:チームの奴から連絡があったよ、家族が治療出来るようになったって・・・

佐藤:これ、あんたが何かしてくれたんだろ?


蓮沼:さぁ、私はよく知らないけど、あんたがそう思うなら、それでいいさ。

蓮沼:お礼がしたいなら、出所したら菓子折りでも持って来なよ

蓮沼:まぁ、運び屋の刑は軽いから、直ぐに刑務所から出て来れるさ


佐藤:あぁ・・・分かった、そうするよ。

佐藤:銀座で一番いい菓子を買ってくるよ


蓮沼:ははは、冗談だよ、ってか、チンピラに病院来られても困るから、もう此処へは来なくていいよ


佐藤:フ・・・分かったよ

佐藤:ありがとうな、やっぱ、あんたみたいな看護師は初めてだよ


蓮沼:そう? ごく普通の看護師だと思うけど


佐藤:んな訳あるかよ

佐藤:あんたみたいな看護師ばっかって、考えただけでも恐ろしいわ


蓮沼:そうかい? 案外いいかもよ


佐藤:冗談じゃねぇよ、そんなとこ


蓮沼:フ・・・・ほら、もう行きな


佐藤:あぁ、そするよ。

佐藤:じゃぁ、蓮沼さんも元気だな


蓮沼:あぁ、分かったよ。

蓮沼:じゃぁな。



蓮沼:(M)こうして、佐藤健太は警察病院に運ばれて行った。。

蓮沼:(M)私は暫くの間、彼を乗せた救急車を見送っていた。


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