無能な女子高生に生まれ変わった私が【運命の神】と呼ばれる？~堕ちて黒くなるはずのヒロインたちが、命をかけて私を守り、私と恋に落ちる、なんで？～

第2話 殺してやる

　夜空は現代的な大都市の色とりどりの光に照らされ、まるで昼のようにガラスの建物が都市の隅々に林立し、華やかな繁栄の夜景を反射しています。

　黒髪の少女は、暗い黒い制服のような服を着て、夜のようなマントを羽織って、高い屋上を走り、ダッシュし、ときどき飛び上がり、反対側の別のビルの頂上に落ちた。

　濡れた夕風が彼女のスカートの裾を吹いて、黒いストッキングと青春の濃いしなやかな太ももを見せた。

　彼女は走って、都市の間を行き来して、風のように軽快だった。

　少女は大きな看板の前で足を止め、柔らかい指で黒い髪をなでて口元を上げました。

「『黒い歯』なのに、まだ隠れて何をしているの？出てきてよ！」

　少女の声が出た瞬間、冷たい空気の暗い隅で沈黙が「ぱちぱち」割れて暗い穴ができました。その後、巨大なモンスターが空間の隙間から飛び出します。

　遠くから見ると、怪物は黒い小山のように、血色の鋭い両眼に恐怖の殺気がにじみ出ていた。口には鉄のような硬い牙が張り巡らされていて、宇宙船の艦体を噛むことができるようだった。

「黒獣（くろじゅう）は、苦痛を積み重ねた魂が歪んだ怪物。罪のない人たちが受けた苦痛を味わってもらいましょう！」

　少女の首に深くはめ込まれた宝石は無限の魔力を放ち、手のひらの真ん中の暗紫の刻印が急に淡紫光を放ち、透明な波紋を広げた。まばゆい光と金属の切り合いの共鳴とともに、武士刀の彫文刀の柄が空気の中に浮かんだ。

　黒髪の少女の目には殺戮の光が屈折しており、刀の柄をつかんで、急に空気を抜き、無限の魔力を放った武士刀が敵の血を渇望していた。

　少女は高い空に飛び、黒い歯の前に落ち、その目は少女をじっと見つめていた。

　黒い歯が牙だらけの血盆を開けて大声で叫び、少女は何のためらいもなく刀を抜いて、血まみれの三日月のような剣気が空から出て、止められないように怪物の体を割ってビルに命中して、猛烈に爆発して、濃い煙が出る穴を残しました。

　血漿の弾幕が四方に飛んできて、咆哮する怪物が屋上から落ちました。

　地面が破裂し、乱石が飛び、煙が立ちこめている。怪物は死んだかのように地面に横になって動かなかった。

「こいつがこんなに弱いとは思わなかった…」

　黒髪の少女は怪物の死を惜しんでいるようだった。

　彼女は武士刀を空中に投げ捨て、刀身は光を放ち、跡形もなく消え、まるで空気の中に溶け込んでいるかのようでした。

　少女は背伸びをして、身を躍らせて床に飛び、どんよりした怪物のそばに出た。彼女は怪物をちらっと見て，ため息をついた。

「晶石を回収しなくちゃ…十分な晶石を蓄積すれば、普通の人に戻ることができますね」

　神々の力を手に入れたければ、代償を払う必要がある。カードは債券と同じで、失ったものを再び完全にするために抵当に入れる 「戦歴 」があるだけだ。

　少女は腰から不思議そうなカードを取り出した。カードの下側には奇妙な金色の回路を持つ星の図形が描かれ、もう一方の面は宝石模様がわずかに描かれただけの真っ白なカードだった。

「このようなことはいつまですれば終わりでしょうか？」

　少女がカードを怪物に向けようとすると、怪物は首を早く回して口を開けて黒いガスが口の中に巻き込まれます。

「よくないです!油断しました!」

　少女は素早く身をかわし、灼熱の暗黒い息が怪物の口から激しく噴き出し、少女のそばをかすめて壁を焼き、壁が溶けて液体になった。

　彼女は、大量の血と肉で焼かれ、白い骨が見えるようになった腕を覆い、歯を食いしばり、耐え難い痛みに耐えながら、ゆっくりと怪物に歩み寄った。

　怪物はようやく死んだが、その時限爆弾のような致命的な攻撃で少女は危うく死ぬところだった。額は汗で濡れ、唇は震え、息をのんだ。 戦いに慣れた自分が、こんな危険な綻びをさらけ出すとは思ってもみなかった。

「本当に危険だ…これ以上、下級の黒い獣たちを甘く見てはいけない、死んでしまうかもしれない」

　少女はカードを怪物に向け、目を閉じ、心の中で何かをつぶやいた。 ほどなくして、怪物の巨体が霧となり、巨大な黒い波のようにカードに巻きついた。

　とても小さな宝石の破片がカードに加えられた。

　月明かりが少女の華奢な体を撫で、無数のクリスタルの粉がキラキラと彼女のそばを舞い、まるで夜の王女のように清らかで幽玄に彼女を飾った。彼女は深い夕暮れの空を見上げ、瞳孔がわずかに震えた。

「公園の上空が光っているようだ…木だ！ なんでこんな高い木があるの？」

　少女はしばらく立ち止まり、頭を下げてポケットからガーゼを取り出し、腕の傷に簡単に包帯を巻いた。

「チッ、痛い…」

　魔法少女である彼女は、唯一の存在理由は戦うことだと知っている。 呪われた者は、一度死んだ黒獣から救いと希望を引き出せなければ、自らの存在は永遠に消し去られる。

　黒獣は絶望と混沌の具現であり、彼女は希望の使者なのだ。

「いつか......自分自身が黒獣に堕ちてしまうかもしれない」

　カードを回収すると、少女は振り返って高いビルの間のトンネルを出て、夜の中に消えていった。 地面には、鮮やかな赤紫色の光で半透明になった斑点のある血の跡が残っていた。