第3話 彼女は錬金術の産物

 次の日は、別の女性の絵を描くことになった。彼女もまた、普段は勇ましく戦う冒険者のようだが、ひどく緊張していた。

 同じ女性同士で一対一とはいえども、一方的に裸を見られるとなれば、心の奥にあるシャイなハートが飛び出してしまう子なのだろう。私は直感的にそう感じた。


 いよいよドローイングにかかる。彼女は痩せ型でありながらも、肉厚のある脚が特徴だった。酒の飲みすぎで、若干太ってきているらしい。

 彼女の絵は、ユークリッド氏の要望で何枚も描いた。

 正面から直立不動の飾らない姿から、長く下ろした銀髪の隙間から肉厚のある尻が覗く背中の姿、他にも緊張する顔を仮面で隠した姿など。

 事情を知らない間は、この子が相当お気に入りなのかと思っていた。

 それもそのはず、彼女はユークリッド氏の持つホムンクルスとのことらしく、彼は彼女を描いて欲しいから私を雇ったらしい。

 解約までに一番多くの絵を描いたのが彼女だったが、その顔から緊張が消えることは最後までなかった。

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