僕は彼女に殺された。

雨宮悠理

僕は彼女に殺された。

何の変哲もない夏の夜。


僕は彼女に殺された。


でも、それは仕方のないことだ。


だって彼女は僕のことを深く憎んでいるのだから。


僕は、何も悪くなかった。


彼女を愛した。それだけだった。




……ああ、ようやく理解した。


彼女が、僕に何を伝えたかったのかを。


彼女は僕を愛してくれていた。


なのに僕が彼女を殺したから、彼女は怨み言を言いたいに違いないのだ。


そうに違いない。


そうでないならおかしいじゃないか。


だから僕は自身の死を以て、彼女に許しを請うことにしたんです。

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僕は彼女に殺された。 雨宮悠理 @YuriAmemiya

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