第3話~異世界転生した現代のマッドサイエンティスト、前世の記憶を取り戻す~

-転調てんちょう-


あの出会であいから数分後すうふんごぼくらは、仲良なか学園長室がくえんちょうきつて、学園内がくえんない散策さんさくしていた。


「あの…。ダニエルさま?いま、どこへかってるんでしょうか…?学園長室がくえんちょうしつからですと、近場ちかば教室きょうしつなどは、職員室しょくいんしつとかですよね…?僕、ぜんぜん場所ばしょわからないので…。おしえてください(泣)」


そううと、王子おうじあしめ、こちらがわいた…


「あ!わすれておりました!この学園がくえん学園長がくえんちょうは、わたしの"叔父様おじさま"です。どうぞ、しなに。」


そうってかおちかづけ、ニコッとわらった


「え?あっ…。そ、そうなんですね~。あははー」とぼくは、片方かたほうかおうしろにて、苦笑にがわらいする


『いや…、まさかね…。王子様おうじさまが、こんな、こんな、えない吸血鬼きゅうけつきもどき、きになるわけないよな…』


そうおもった矢先やさきかれぼくまえくろちか業火ごうかはなのような赤黒あかぐろ髪色かみいろをした、銀縁ぎんぶちのメガネをけた、まさに"秀才しゅうさい"を具現化ぐげんかしたかのようなの、学園がくえん制服せいふくたかい、男性だんせいあられた。


王子様おうじさまわれは、学園長がくえんちょうより学内がくない散策さんさくの、おともをしてまいれとおおせつかりました。学園内がくえんない2番目ばんめ秀才しゅうさいうたわれた、"サラマンダー使つかい"のSもうします!!どうぞ、しなに。」


そうい、王子おうじぼくまえで、お辞儀じぎしてみせた


「うむ!はなしいているぞ、きみ僕達ぼくたちまわるのでれば、くわしいはなしたくさんかせてね?」とハニカム。


-転調てんちょう-


さて、姉貴あねきはというと、ダニエルさまちかくにるのは、"おこがましい"と、くさむらにかくれながら、ひそかに、ついてている。


『あー、なんてとうといの~。ダニエルさまと、ウチのおとうと絶対ぜったいならんだら、保養ほようってのはかってはいたけど…。うんうん!やっぱり保養ほようだわ…。』


そう姉貴あねきおもいながら、両手りょうてわせたような、とうといポーズを、ひたすらしながら、ついていく。


-転調てんちょう-


びととして挨拶あいさつしてきた男子学生だんしがくせいが、いつのにか、まえから姿すがたえていた…


ただかることはかれも、また、姉貴あねき一緒いっしょちかくのくさむらにかくれて、監視かんししてはいるようだが…。


姉貴あねき状況じょうきょうぼくとダニエルさまには確実かくじつに、バレてるから全然ぜんぜんかくれてないところ姉貴あねきらしい。


「ダニエルさま!ここは?職員室しょくいんしつよりさきに、場所ばしょではりませんよね??」


そうぼくが、?マークを沢山たくさんあたまけている様子ようすを、王子おうじやさしくわらいながら、かおちかずけて、見上みあげてきた。


「スバルくん、きみ再会さいかいしたら、絶対ぜったいに、最初さいしょたかった場所ばしょなんだ〜。ここ、おぼえてる??この学園がくえんはね、わたしたち、公国こうこく貴族きぞくたちのむ、城壁内じょうへきない敷地内しきちない存在そんざいしていることを…。そう、一度いちど一緒いっしょあそんだ場所ばしょわたしたち二人ふたりの、大切たいせつな、おも場所ばしょなんですよー」


あざとくくびかしげて、耳元みみもとあてて、ささやく。


『はわわ…。これは、心臓しんぞうもたん…。かわいすぎるイケメンからのファンサ…。マジでヤバい。心臓しんぞうわるいぞ…。』


こころこえが、現代げんだいむかしの、自分じぶんが"イケメンきの、アイドルヲタク"だったことが、これできみたちにも多分たぶん、バレたはず。


そう…。前世ぜんせぼくは、ジャンルこそかたよりがあるが、同人誌どうじんしやゲーム、アニメなどがきな、ヲタクで、天才てんさいな、"科学者マッドサイエンティスト"だったのだ!!


『マジで最強さいきょうなイケメンと、二人ふたりっきりって…、緊張きんちょうしないわけいかないよね…。姉貴あねき~、マジで、たすけて(泣)』


そんな、こんなで、姉貴あねきそばて、見守みまもってくれてるのはっている。


だが、だまってかべになってないで、たすけてくれ…。ほんと、たのむから(泣)


「あ、あの…、ぼくぜんぜん、記憶きおくないんですけど…。ぼくらの場所ばしょ?ってたしか、いましたよね…?いつぼくら、いましたっけ…。」


そう…、記憶きおく片隅かたすみにしかぼく記憶きおくがないのだ、おぼえてるはずがないじゃないかっ!!


きみおぼえてないのか…、それは残念ざんねんだな。でも、きっと、これからすこしづつ、おもすよ!だって、ここに、また理由りゆう出来できるのだから…。」


そうつぶき、王子おうじぼくかお両手りょうてばし、見上みあげるようにして、微笑ほほえんだ。


『あー、そうか…。この笑顔えがおってるぞ、ずっとまえから…。いとしくて、せつなくて…、それでいて、うつくしい…。そんな存在そんざいきみおれの…。』


-転調てんちょう-


場所ばしょわり、さっきまでなかった、案内役あんないにんき人である男子学生だんしがくせいが、そこにはた。


今度こんどまわりの雰囲気ふんいんきが、ガラッとわって、学園がくえん職員室しょくいんしつへと案内あんないされた。


「ここが学園がくえん教授きょうじゅたちがまる、教員室きょういんしつです。これから、先生せんせいたちに、ご挨拶あいさつしましょう!準備しゅんび出来できてますか?」


かれ、ぼくらがうなずくと、教員室きょういんしつとびらが、ゆっくりとひらかれた。


「やぁ!たね〜。きみが、入試にゅうし一番いちばんだった、うわさ魔人族まじんぞく天才てんさいくんだね!きみはなしきみの、おねえさんからいてるよ~。やはりきみ家系かけいは、天才てんさいばかりだね。うちの大学だいがくで、研究者けんきゅうしゃとしては、本当ほんとう重宝ちょうほうされてるよ…。ありがとうね」


と、いきなり両手りょうてつよにぎられて、ブンブンされた。


教授きょうじゅは、大歓喜だいかんきのようだ…


「あはは…。ありがとうございます!すごく光栄こうえいです。これから、よろしくおおねがいします!」


と、苦笑くしょうしながら挨拶あいさつすると、ぼくにぎっていた教授きょうじゅが、きゅうはなたれたためか、ころちるかとおもってしまった…


ただ、みょう視線しせんかんじたことに、ぼくらはあとからこととなる。


それが、まさか、重要じゅうような、なにかだとしても…


ぼくらが、その重要じゅうようさに、づくまでは、かなりの時間じかんがかかってしまったのだ。


-転調てんちょう-


場所ばしょふたたわり、教員室きょういんしつからは、すこはなれた位置いちにある、倉庫そうこのような、不思議ふしぎ場所ばしょへと案内あんないされた…。


先程さきほどまで一緒いっしょ案内役あんないやくびと男子学生だんしがくせいと隠れてニヤニヤしながら、ついててくれていた姉貴あねきは、ふたたび、くさむらなどにかくれている。


また王子おうじ二人ふたりっきりか…、緊張きんちょうする〜。やっぱり、むりぃ~(泣)


そうおもい、はなしそうとして、まえあるいていた、王子おうじあゆみをめた。


そして、き、こうはなった…


「おひさしゅうございます…。わたし貴方あなたちいさきとき出会であい、そして前世ぜんせでも恋人こいびととして、一緒いっしょ時間ときごした、存在 そんざいでございます。


貴方あなた前世ぜんせ=現代げんだいでは、素晴すばらしい知識ちしき技術ぎじゅつ使つかいこなし、すご知名度ちめいどほこ最強さいきょうのマッドサイエンティストだったことを、わたしっています…。おなじ、この世界せかい転生てんせいしたこと、運命うんめいかんじました。」


そうわれ、なんで笑顔えがお記憶きおくからのこっているのだろうと違和感いわかんかんじていたし、なんなら、なつかしいとさえも、おもっていたんだ…


『あー、きみなんだね…、やっぱり…、まさかな~とはおもっていたんだ…。うん、あれからきみのこして現代げんだいから、異世界いせかい転生てんせいしてしまったおれが、大切たいせつ存在そんざいであり、唯一ゆいいつ理解者りかいしゃであり、ってくれた、大好だいすきな存在そんざい…、そう。おな時代とききた、年下としした可愛かわい後輩こうはいくん。こころそこから、心配しんぱいしてたから、再会さいかいできて、本当ほんとうよかった…(泣)』


そうおもった途端とたんに、何故なぜくしながら、からは大粒おおつぶなみだていて、かお大洪水だいこうずいだ。


「あっ…、あっ…、もしかして、黒谷くろたになのか?いや…、"秋弥しゅうや"なのか…。本当ほんとうに、そうなら、あのことってるよな?!おれだよ、おれ!"素晴すばる"だってば!」


現代げんだいでの、名前なまえ由来ゆらいは"素晴すばらしい才能さいのうって活躍かつやくしてしい"という意味いみめて、大好だいすきな家族かぞくけてもらった大切たいせつな、素敵すてき名前なまえだ。


「もちろんですとも!おぼえてますよ!"素晴すばる"せんぱい!!だって…、現代げんだい大学だいがくでも、薬学部やくがくぶあこがれで、サークルで仲良なかよくなってからも、卒業そつぎょうしてからも、片思かたおもいしてましたけど、わたしおな研究室けんきゅうさかつ仕事しごとしてたときに、勇気ゆうきして告白こくはくしたら、OKしてくれましたよね…?絶対ぜったいわすれるわけないじゃないですか(泣)」


そうい、くずれる王子おうじ姿すがたをした中身なかみは、現代げんだいのこしてきてしまった、いとしい恋人こいびとだ…。


そりゃそうなるよなー、心配しんぱいだったんだろうな…。


心配しんぱいかけて本当ほんとうに、ごめんな…。大事だいじ時期しわきに、きゅうなくなって、かなしかっただろ?まさか、異世界いせかいに来ても、おまえうとおもわなかったんだよ…。こんなん、運命うんめいじゃないか!!"秋弥しゅうや"、これからも、よろしくたのむ。」


そうおれくずれると、王子おうじ=秋弥しゅうやうなずき、やさしく微笑ほほえんだ。


「えー、ですよ、せんぱい…。本当ほんとうかった…。まさか、おな運命うんめい辿たどるなんて…おもってもいませんでした。これからは異世界いせかいでも、沢山たくさんあげます。よろしくおねがいしますね、マイハニー。」


そういながら、そばくずれているおれやさしくきしめ、あたましくでてくれた…。


その瞬間ときおれは、現代げんだい記憶きおくを、すべもどしたのだった…。


そう、こいつは現代げんだいおれ過労かろうたおれて、まえに、つくったいとしい"同性どうせい恋人こいびと"だ、学生時代がくせいじだいからのいで、ずっとおれ片思かたおもいしてくれていて、あるときに、二人ふたりっきりになったさいに、覚悟かくごめて、勇気ゆうきして、告白こくはくしてくれて、ずっと、ずっと、一緒いっしょることを、こころそこから、ちかった、"運命うんめい相手あいて"だ。


かれ名前なまえは"黒谷くろたに 秋弥しゅうや"、くろたに支配者しはいしゃであり、あき弥勒みろくさまが、おしえをうながしたよう名前なまえだ、かれ実家じっか現代げんだいにおけるだが、そのうらでは、つまり""の家系かけいなのだ。


そんな大事だいじな、家業かぎょうててまで、おれおなみちあゆんでくれた、あとしい恋人こいびとと、異世界いせかいでも、めぐえるとは…。


それは、""としか言いようがないほどには、""は、おれらに、味方みかたをした。


『まさか、異世界いせかいても、おまえつながれるとはなぁ…。本当ほんとうに、神様かみさまも、""も、味方みかたしたんだな〜と実感する。


おれたち二人ふたりを、めぐわせてくれて、本当ほんとうに、ありがとう。これからの異世界いせかい人生じんせいでも、恋人こいびと一緒いっしょごさせてもらうよ!感謝かんしゃします。ずっとおんわすれない…』


こうして、たした二人ふたりは、これから沢山たくさん試練しれんけていようとは…。

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