第6話

 どうしようもなく、でかくて殺せないやつがいた。しかたがないので、そいつに自分と彼女の記憶を食わせて、封印している。代償に、お互いに、記憶がない。


 こちらでやることは、全部やった。彼女と一緒にいるときに出くわしたやつなので、ちゃんと覚えていられた。


 とはいえ。しにそうだった。彼女と一緒にいないときの、戦い方を。忘れてしまっている。傷だらけで、さすがにどうしようもない。


 携帯端末。もう、開く体力すら残っていない。


「さすがに、やばいか」


 路地裏。ここはどこだろうか。分からない。分からないので、彼女と一緒に来たことのない場所だと思う。

 空。真っ暗だった。曇っているのか。それとも。見えないのか。それすらも分からない。

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