砂糖の世界史

タイトル:砂糖の世界史

作者:川北稔

読書期間:2023/2/3~2/7

媒体:オーディブル


・・本書紹介・・

 茶や綿織物に並ぶ「世界商品」である砂糖を中心に近代以降の世界史を描いている。

 今、世界史を学んでいる人に読んでほしい作品。





・・以下ただの感想。ネタバレあり・・

 自分が世界史を学んでいるときに出会いたかった作品である。


 歴史を学ぶとき、普通は、人や国を中心に学ぶと思う。その人物がどういった革命を起こしたのか、どこの国とどこの国が争ったのか。その影響はどういったものか。


 舞台の上の登場人物一人一人にスポットライトを当てている感覚だ。

 ライトで区切られた丸い円がくっついたり離れたり、時に消えたりする。舞台全体を把握するのは難しい。


 この本はどうだろう。

 砂糖という「モノ」にスポットを当てることで、人から人へ、ライトの動きが加速し、舞台全体を把握することができる。



 時間が飛ぶように流れる為、仔細を知ろうとすれば、やはり国や人について勉強する必要はあると感じる。

 だが、歴史の流れを感じるには十分だし、なぜ植民地ができ、なぜ現在発展途上国や先進国と言われる場所があるかが分かる。

 そして当時の大英帝国の影響の大きさも分かるというものだ。


 自分は砂糖にしろ茶にしろ、裏で糸を引いていた、くらいに考えていた。


 全然違う。

 当時の世界は巨大な国だったのだと思う。地球という国。

 もちろんフランスなどしっかり抵抗している国もあるのだが、地球各地に植民地を持ち、奴隷という名の労働力を移動し、生産品は自国へ集める。


 ものすごく小さな規模にしてしまうと、畑で作物を作り、卸売市場に集めるだと思う。売れている作物は畑を広げ、一帯がその作物の畑となる。

 ざっくりこれを世界規模でやったのが当時の大英帝国。だが規模が違い過ぎる。


 人の移動も数十メートル離れた畑へ移動する、なんてレベルじゃない。

 連れて来られた人間が、元の家へ帰れたとは思えない。

 卸売市場に例えたけれど、権力も影響力も全然違う。


 この本を読んで、規模と影響力の大きさをようやく理解した。

 昔学んだ点と点が繋がっていく感覚。


 本当に今から習う人、今習っている人に読んでほしい作品である。

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