第12話 危機

神経質の苛立ちは、男に伝わっている。

言葉はわかる。

だが、意味が分からないのだ。

その神経質が鞄に手を突っ込んだ。

すわ、銃器類か!

男は身構えた。

危険を察知した時、笛を吹くことになっている。

咄嗟に笛に手をやる。

だが神経質が先手をとった。

そして、取り出したものを突き出す。

…札束であった。

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