第11話 奥の手

側近は苛立っていた。

語学には自信がある。

だが、男は一向に解そうとしない。

だんだん阿呆づらに見えてきた。

なんだ、その顔は!

まったく腹立たしい。

第一、同志の前で失礼ではないか。

普段であれば頬を打っているところだ。

だが、騒ぎは禁物である。それは憚れられた。

よかろう。

鞄に手を突っ込んだ。

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