第7話:デート in ゲーセン
翌朝。今日は日曜日で学校も休みだ。
昨日と同じように料理し、俺達の分は自分の部屋で食べる事にした。
今日の昼過ぎてに親父は出張に行くらしい。なのでそれまで自分の部屋で過ごすことにした。
それからしばらく待っていると親父は言ってた通りに出張に向かった。これでしばらくは晴子のことはバレないだろう。
折角の休日だし、ずっと部屋に篭っているのも退屈である。という事で二人一緒に外に出る事にした。
「つっても何処行くよ?」
「んーそうだな」
外出したものの、ノープランで何処へ行くか決めてなかった。
「そうだ。ゲーセンいかね?」
「いいなそれ。行こうか」
こうしてゲームセンター――ゲーセンに行く事に決まったのだ。
駅へ行き、電車に乗って数分揺られて、目的の駅に辿り着いた。そこから数分歩き、大型のゲーセンに到着した。
「ここなら退屈しなさそうだしな」
「最近は来てなかったし。新しい台入ってるかもな」
自動ドアの前に立ち、開くと同時に様々な電子音が混ざり合った騒音が耳を貫いた。もはやゲーセンでは当たり前の環境音だ。
店内へと入り、まず何からやるか物色し始める。
「アレやってみない?」
「お、いいぜ」
視線の先には、大きめの筐体があった。近くには、銃がぶら下がっていて筐体からケーブルで繋がっている。いわゆるガンシューティングゲームというやつだ。
筐体の前立ち、二人分のコインを入れて、銃を手に持ちゲームスタート。この手のゲームはあまりやった事が無く、序盤から苦戦していた。
「ちょ……やべえ! 死ぬ死ぬ!」
「はえーよ! まだ1面すらクリアしてねーじゃん!」
「お前も死にそうじゃねーか!」
「仕方ないだろ! 殆どやった事無いんだから!」
もう必死だった。それでも徐々に慣れ始め、ついに1面のボスらしき敵キャラが登場する。
「せめてコイツだけでも倒すぞ!」
「おうよ!」
トリガーを引きまくり、敵に向かって連発。最初のボスだけあって攻撃パターンも単純だった。
「おっし! いけるぞこれ!」
「くたばれええええええ!」
ひたすらトリガーを引いて撃ち続けた。
しかしライフが残り1となってしまう。
それでも諦めずに撃ち続ける。
そしてついに――
「「よっしゃああああああ!」」
ボスを撃破。初めてにしては上出来だったと思う。
2面へと突入したが問題があった。
「ライフ1しかねーんだけど」
「オレもだ」
そう、残りライフが1しかなく、あと1発でも食らったらゲームオーバーなのだ。それでもゲーム自体に慣れ始めていたので進めることにした。
最初はうまくいっていたが、やはりノーダメでクリアするのは厳しく、ボスに辿り着く前にゲームオーバーとなってしまった。
「あっちゃー……もうちょい行けると思ったんだけどなー」
「つか1面でダメージ食らいすぎなんだよ!」
「お前も人の事言えねーだろ!」
「最初に死んだのは春日の方だろ!」
「最初にダメージ食らったのは晴子の方じゃねーか!」
「…………」
「…………」
「……他のゲームにしようぜ」
「……そうだな」
そんな不毛なやり取りをしつつ、別のゲームを探し始めた。
その後も色々なゲームで遊んでまわり、有意義な時間を過ごす事ができた。
晴子と一緒に遊んでいると、まるで兄妹が出来たかのような気分になり、本当に楽しかったのだ。
本人は隠してるつもりだろうが、まだ少し憂鬱な気分が抜けていない感じがしたのだ。しかしゲーセンで遊んでいる内に、段々と元気を取り戻していって、笑顔も見せるようになってきた。それだけでもここに来た甲斐があったというものだ。
殆どのゲームをやり終わったので、そろそろここを出ようという事になった。
「いやー遊んだなー」
「つか、ここまで遊び尽くしたのは初めてじゃね?」
「あー確かに。一生分やった気分だわ」
「さすがに言い過ぎだっての!」
互いに笑い合う。
よかった……こいつもだいぶ笑うようになってきたな。しばらくは心配要らなさそうだ。
「んー……こうして見るとオレらってさ――」
「何だよ」
「デートしてるみたいじゃね?」
「………………いきなり変な事言うなよ」
「だってさ――」
すると俺の腕に抱きついてきたのだ。腕に柔らかい感触が伝わってくる。
「こうやると恋人みたいじゃん?」
「なっ……お、お前何してるんだよ!」
「えー、だってこうやって可愛い女の子とデートするのが夢だったじゃん。よかったな夢が叶って」
「そ、そうだけど――じゃなくて! お前はいいのかよ!? 相手は俺なんだぞ!」
「何だよーオレだと不満なのかよー」
「そのニヤケ面やめろ!!」
この性格の悪さは何処から来るんだよ……!
こいつの容姿は全てが俺好みだ。晴子みたいな子が学校内に居たのなら、玉砕覚悟で告白してたかもしれない。そのくらいこいつは理想的なのだ。これで中身が『俺』じゃなけりゃなぁ……。
その後も数分間からかわれたのだった。
「――――サンキューな」
「ん?」
「何でもねーよ」
やっと腕を開放してくれた……。
…………
やっぱり晴子に隠し事は通じない……か……
その後はいつものスーパーで買物をして、家に帰宅したのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます