七つ森高校は眠らない

虚城ハル

プロローグ  まだ誰も知らない始まり

 全ての始まりは──その事件からだった。

 いや、その時はまだ「これ」が続くことになるものとは誰も知らないし、

 一つの現象で起こる事を最終的に事件とした訳だが。



「──言っておくけど、これがためになるとは限らねぇからな。参考になるかは分からんし、俺は何の解決もしねえ。話聞いて考えるのはお前らだけど、それでも聞きたいか?」


 私達はみんな、迷わず頷いていた。


「お願いします……!」



 それが始まりの始まりに過ぎない事を知る由もなく──

 私達はその日、思い切り踏み込んだのだ。

 この高校に潜んでいた、

 不可思議な現象に。



 その部屋で、いつもの席で、彼が言った。


「──お前ら、〈こころえらび〉って知ってるか?」



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