第28話 パソコンが来た

今日は待ちに待ったパソコンがウチに来る日だった。使用方法の説明をしてくれる業者さんが来てくれた。本当に助かるな。


リビングの一角にパソコン用デスクを用意していた。車椅子との高さもバッチリだ。


「では、こちらから操作してみてください」


僕は言われた通りに人差し指の指先でマウスを操作してみた。指を機械につなぐと僅かな動きでマウスポインターが動いてくれた。


すごいぞ!!!!!


僕の意思でマウスが操作できている。


僕は自分で何かを動かすという経験が生まれて初めてだった。僕の指は時々変な動きもしてしまうけど、ほとんど問題なくマウスを操作することができた。


「キヨト、すごいね!!」


お母さんも嬉しそうに声をかけてくれた。

ちょっと慣れるまでコツが入りそうだけど、何とか扱うことが出来そうだ。その後、視線入力の使い方も教わって、業者さんの説明は終わった。


業者さんが帰った後、僕はずっとパソコンをいじっていた。

僕のこれまでの活動は、意識の世界がメインで、この世界とほとんど遮断されいたから、こんな形で現実的に働きかけることができることが夢みたいだった。


僕は最初に入力する文章は心に決めていた。

それだけは何とか今日中にやってみたい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る