第26話 天使

嬉しさのあまり僕の意識はアッチの世界まで飛んでいった。そこでは僕は自由に走り回れるし、自由に話せるんだ。


そこには、天使がいた。

子どもみたいに小さくて、金髪でくるくるの髪に背中に白い羽が生えている。よくイラストなどで見かけるイメージ通りの天使だ。


僕は誰でもいいから伝えたくて、天使に向かって大声で叫んだ。


「ねぇ、天使くん、聞いてよ。僕の母さんに僕の思いが通じたんだ!パソコンでコミュニケーション出来そうなんだ」


天使は僕の方を見た。


「これで、僕の想いがパソコンで言葉にできるかもしれないんだ。ねぇ、すごいでしょう?」


『……………』


「何を伝えるか今から楽しみでしかたないよ」

 

最初に言う言葉だけはもう決めている。


天使は『ふーん。良かったね』とそっけなく言った。


「キミ、本当に天使なの? ちょっと冷たくない?」


『僕は天使だよ。見てわかんないの?』


見た目だけは天使っぽいってことはわかるけど……


「ふーん。なんかイメージと違うなぁ」


『今のキミの方が天使みたいだね』


天使は笑った。

僕も笑った。


神さまありがとう。

僕は嬉しくてしかたないよ。


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