第6話 知能テスト

そんな僕だけど、死ぬまでにやりたいことがあった。それは、どうにかして自分の意思や考えてることを文章にして伝えたいんだ。


僕は、指先がほんの少し動かせるのと眼球が動かせる。指先でYESとNOの意思表示は一応できる。母とは指の動きで意思疎通を図っている。


この力を使って何とか自分の意思を伝えることができないかな、といつも考えていた。


でも、僕の指は時々言う事を聞いてくれないんだ。

この間、僕にとってちょっとした事件が起きた。母が急に僕に知能テストを受けさせようと言い出したんだ。定期検診の時にその話題が上がっていたからだろう。


もし、このテストで点数が取れたら、僕が物事を多少なりとも理解して考えることができると、母に改めて知ってもらえるかもしれない。僕はそう期待しながらテストに臨んだんだ。


でも、テストを受けている時に僕の指が言うことを聞いてくれなかった。僕の意思と違う勝手な動きをしたり、震えたりして、支離滅裂の回答を叩き出した。僕のアウトプットは目茶苦茶だった。

当然、検査結果は散々で「知的障害が疑われる」と診断されてしまった。最悪だ。


僕はそんな結果を笑い飛ばしてしまいたかった。でも、笑うことも泣くこともできなかった。


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