第24話

 昼食は簡単にサンドイッチを作る事になった。しかし…


「せっかくだ。凝ったものも作ってみようか」

「凝ったもの?」

「チキンを入れてみようと思う」

「えっチキン?」


 そう言うとリークは猟銃を持って風のように家を出たのだった。


(ええ…)


 と言う訳で、私は先に作りかけの卵サンドを作っておく事にした。卵は今お湯の中で煮ているのでもう少しすれば完成だろう。


「もういいかな」


 火を消してお湯から卵を取り出し、冷水で冷やしながら殻をむくと丁度良い硬さに仕上がっていた。卵を砕いてマヨネーズと合わせる。そうするとそれをパンに塗れば卵サンドの完成である。


「出来た」

(何とか、できた…)


 ここまで料理の工程を進められるようになったのは、成長を感じる。リークとよくキッチンに立っていたのが功を奏したのかもしれない。


(やっぱり何事もまずはやってみないと、か)


 するとリークが帰ってきた。左手には仕留めたオスのキジが握られている。


「おかえり」

「ただいま。今から下処理してくる」

「ええ。卵サンド出来たわよ」

「わかった。終わったら行く」


 その後、外の中庭でキジの下処理を済ませたリークがキッチンに戻ってきた。キジの肉をフライパンで炒めて醤油と砂糖でソースを作り、キジの肉に掛けると照り焼きチキンが出来る。

 てりてりとしたソースと香ばしい風味が食欲をかきたてる。


「これをサンドイッチにしよう」

「おいしそうね」

「ああ、何個か作ろうか」

「ええ!」


 他にも野菜のサンドイッチを作ると、お皿に乗せてそのまま木造りのケースに入れる。

 理由は、ツリーハウスで食事をする為だ。


「ナターシャ、サンドイッチはこっちが持とう」

「いいの?」

「勿論」

「じゃあ、私は水を用意するわ」

「いや、それも持つ」


 なんだか、申し訳ないが全部リークが持ってくれる事になったのだった。


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