第2話

トスッ…トスッ…トスッ…


「ふぅ…今標高600mくらいかな?ビーちゃん。」

「……」

「……600mだね!まあ、この辺でいっか!」


山岳地帯。平地に比べるとまあ、危険ではある。酸素は気持ち薄めだし、リュックの中に雑に入れた荷物とか、無くすことが多い。

……まあ、私がものぐさなのが一番悪いんだけどね。あと、思いの外木々が生い茂っていて困る。焚き火できないじゃん。だめじゃん。

……いーや!山火事になっても知らん!!!とりあえずここでおっ始める!


"狩り"を!


え?山菜がなんとか言ってたけどって?いや〜私は沢山動くから、タンパク質が常に足りない気がするのよ!だから、狩りは普通にする!


銃剣を持って、ゴリ押しで倒す。それが私のスタイル。火薬?私は作れないなぁ〜だからこれはアホほどぶっとい剣!剣も私作れない!なんもない!!


「…………」


あっ…

ビーちゃんが、一つの方向を見つめている。こういう時は大抵いる。


「……………………………………………………」

「……………………ドキドキするな…………」


「ぐぅぅうぁぁげあぁぁああ!!!!」


来た!!!やらなきゃやられる!!!!!!!


「バーーーン!!!」

えっ……


あっ……まだ弾残ってた…………

ちなみにこれは私のものではない。男性か女性か、どっちかだった人のものである。説明書くらい残しておいて欲しかった。


「ジューーーーーーー」

「ジューーーーーーー」

「………………………」

それはあまりにも油分が少ない"生き物"だったので、虚しくなって脂で揚がる音の物真似をしていたのに、やっぱり今日も喋らない。物真似くらいしようよ。楽しいよ。


「ふぅ……そろそろ焼けたかな。いただきまーす!!」

ブチッ!まっっっず!!!

「…………………」

「いやこれまずいよ!!大丈夫なのビーちゃん!?!?」

「………」


まあ、ビーちゃんがお腹を壊したところなんて見たことないし、たぶん大丈夫なんだろうな。ビーちゃん、強いから。


勿体無いので全部食べた。生きるため、食い繋ぐためだからしゃーない。吐きそうではあるけど吐く以上のエネルギーの浪費を、私は存じ上げていないので吐きたくない。吐きそうだが。我慢する。生きていくために、普通を目ざ……


……いや、他人の普通の固定概念なんていいや。今は。ビーちゃんと生きていければ。


それだけで、最低限の生きがいにはなっている。

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