7日目『まわる』

女の生首が現れてから1週間が経った。

案の定、悪夢を見た俺は買ってきた水を飲みながら昨日のこと、今の悪夢の内容を反芻していた。


パーキングエリアでは悪夢を見た後、一睡もできず、6日は長距離を運転して、山こと俺の地元へ着いた。

地元に着いてすぐに生首を埋めても良かったが、女の生首が見つかった山は低山で開けてるため、人目につかない夜から夜中にかけて埋めに行こうと思った。あと単純に休憩したくて、夜になるまでは誰も住んでない実家で仮眠を取ることにした。


庭の伸びた草木を避けながら、実家に入る。

中は当たり前だが誰もいなくてひっそりしていた。電気も水も来てないが今年は11月のわりに暑いので凍えずに済んだ。

適当にコンビニで買った弁当を食べつつ、夜から夜中にかけて生首を埋めに行くのであれば仮眠を取った方が良いだろうと結論付けて、俺はリビングであった部屋に転がった。


疲れもあってか入眠には苦労しなかった。

だが、やはり悪夢を見た。

ユウキの生首が喋っている夢だ。

向かいにいる俺は喋ろうにも口にガムテープを貼られていて話すことができない。

「やっぱりさ!埋めるってなったら土地勘がある所とか選ぶよな!俺たちが女の生首を見つけた山とかな!」とユウキの生首は笑顔で俺に言う。

俺が何か言わなきゃと思ったところで目覚めた。


20年前、あの山に女の生首を捨てたのは男性だったのだが男性は「私は殺してない。気づいたら家にあった」と供述してたと当時の新聞などを調べて知ったのだが、現在の俺がこれに当てはまる。起きたら女の生首があったのだ。

「俺はどうやったら日常に戻れるんだろうな…」


俺は寝れなかった場合の時を想定して、コンビニで買える程度の度数の高い酒を買っていたのでそれを開けた。

度数が高かったので酔いが回り、そのまま寝落ちてしまった。


また夢を見て、口にガムテープを貼られた俺の向かいのユウキの生首が笑顔で言う。

「お前はもう日常に戻れないよ」

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