6日目『 眠り 』

予定ではもう1つ先のパーキングエリアまで行こうと思っていたがサンドイッチを食べ、コーヒーを飲んだら段々と眠くなってきた。

山はまだ先だ。ここは予定を変更して、このパーキングエリアで仮眠を取ることにした。

睡眠不足で事故でもして、警察を呼ばなきゃいけなくなったら俺は生首を隠し通せる自信がない。

俺はもう少しで生首とおさらばできると思ったら緊張の糸が切れたのかすぐ寝てしまった。


夢を見た。

口をガムテープで塞いだはずの女の生首がはっきりと声を発している。

「私、29歳で死んだの」

「私、29歳で死んだの」

「私、29歳で死んだの」

「私、29歳で死んだの」

ずっと同じ事を言っていると思っていたが誰かの声が女の生首と被る。

男性の声だ。聞き覚えのあるー…。

「俺、29歳で死んだんだよね」

ユウキの声だった。

そこで目覚めた。最悪だ。今、何時かとスマホを見ると11/6の午前1時を過ぎたところだった。

「最悪すぎる夢…」

どうにか睡眠時間を確保しようと目を閉じる。

しかし、あんな夢を見たから眠れない。

ここでこのまま死ねたら楽なのにな…そしたら生首を埋めずに済むし、山にも行かなくて済む。

そもそも女の生首は何故、俺の元に現れたのだろう…偶然とはいえ、目に枝を刺したのはユウキだろうに。

「…はは…本当に俺は性格が悪いな…」とつい口から出た。

俺じゃなくてユウキの元に現れたのなら、こんなことにならなかっただろうに。


眠れなくとも目を閉じていれば少しはマシなことを祈りつつ、俺は考えることを放棄した。

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