第7話

「あっ終わり?」


「そう、終わり」


「早かったね。動画全然途中だけど」


「ちょっと休む。ベッドを借りる」


「えっ」


「おまえは帰、る、のも無理な話か。ここにいたければここにいろ。安全は保障されたから、もうどこにでも行けるぞ」


「そうなの?」


「はいおやすみ」


「ねぇ」


「一緒に寝るのは許さん。ベッドはひとりがいい」


「ほんとうに男なの?」


「なんか面倒になってきたな。じゃあ女だよ。女。おやすみ」


 ごそごそ。


「脱がそうとするな。寝かせろ。つかれてんだ」


「気になって寝れない」


「おまえがだろ。私は眠い」


「ねぇ。付き合って。わたしと付き合ってほしい。男でも女でもいい。こんなに長く喋ってて、わたしのことを覚えてくれたのはじめてだから」


「は?」


 一旦起床。


「長くいると、って」


「だいたい30分。一時間も経てば、だいたいわたしの存在がなくなる。なくなるから、わたし。ずっと」


「じゃあだめだな」


「えっこれはOKするところじゃ」


「これからは道行く人間みんなおまえのこと覚えてるよ。引く手数多だ。好きな人間と仲良くなるがいい。こちらの哨戒もしばらく付くし、好きなように人生を謳歌しなさいおやすみ」


 ごそごそ。


「脱がすなぁっ」


「手。繋いでていい?」


「ああもうっ。はいっ。手だけですからね。はいおやすみっ」


「おやすみなさい」


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