第6話

 凄惨な、殺し合いだった。

 人ではないなにか。おそろしい見た目だった。


「さすがに、ちょっと面倒でしたね」


 周囲を固めていた哨戒の他に、精鋭がかなり手を貸してくれた。それでもかなり、ぎりぎりだった。

 それにしても。

 人に恐怖を与えない見た目の、人ではないなにか。これほどおそろしいものはなかった。恐怖を感じないので、殺すのに抵抗がある。人ではないので血も出ない。


「こんなやつらから、あの女は逃げ続けてきたわけだ」


「同情しますよ。付き合ってあげたらいいんじゃないですか?」


「さっき手を繋いでいたからか」


 まぁ、求められるならそれでもいい。普通の声の、普通の女。しかし化物に追われている。いや、追われていた。執拗に私の性別を訊いてくる。


 コンテナルームのドア。


「中は?」


『至って平和。女はポテチ食いながら端末見てる。ちなみに素手』


 端末がよごれるでしょうが。箸を使え箸を。

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