第3話 ハイオーク

帰り道。

「全然進まない...めっちゃ渋滞してる...」

「そうね...」

何か感じる。内攻に少しだけ似ているものが...

(まさか...これがマナかしら...?)

「ねぇ獅音。近くにゲートでもあるんじゃない?」

確証は無いが言ってみた。ジョークだと流されるか?

「確かに...可能性あるね。ちょっと降りていってくる。」

「待って、アタシも着いていくわ!」

車から出て道路を少し歩くとゲートを見つけた。

「これがゲートなのね...」

禍々しい雰囲気を放つそれからさっき感じた恐らくマナのようなものを感じる。

ゲートの前にはスーツを着た人が数人立っている。

「すいません、このゲートは?」

獅音が話しかける。

「あなたは?」

「鳳凰ギルドのC級ハンターです」

何かカードを見せているようだ。

「そうですか。分かりました。このゲートはD級です。10分前に8人のチームが入りました。」

「俺も行きます!」

「待ってください!生身で行くのはさすがに...」

獅音は空中にまるで小さなゲートのようなものを出しそこから武器と鎧を取りだした。

「あぁ、亜空間魔法持ちでしたか。失礼。攻略メンバーは多い方が助かりますのでよろしくお願いします。」

「待って!」

アタシは獅音の腕を掴みとめた。

「危ないんじゃないの...?大丈夫なの?」

「大丈夫!俺だってハンターなんだから!兄ちゃんはそこで待ってて!」

そう言うとアタシの手を振り払い、ゲートの中へと入っていった。

獅音が入った瞬間、ゲートは色を変えた。黒い色へと。

(感じるマナが強くなった?!)

「なんだこれ?!ゲートが変わった?!」

「先輩!マナの数値がA級まで跳ね上がってます!!」

「何?!変化型ゲートかよ!応援を呼べ!中にはB級〜D級のハンターしかいない!」

アタシはスーツの男の肩を掴み話しかけた。

「変化型ゲートってなんですか?!中に入った獅音は大丈夫なんですか?!」

「あれは...ヤバいです...今入ったメンバーじゃ攻略なんて不可能だ...彼らの命は...諦めた方がいい...」

アタシはその言葉に絶望した。

(獅音...獅音が...!)

アタシは何も考えられなくなりそのままゲートへ飛び込んだ。

「何?!大変だ!一般人がゲートへ入った!」

「あぁ、なんて事を!急いで応援を!どこかすぐ来れるチームは無いのか!」

───────────────

「ここが...」

まるで洞窟の中のような場所だった。

(ジメジメしてるわね、何よりマナが濃いわ。A級ってことは上から2つ目、かなり強いわけね。)

そう考えていると奥の方から叫び声が聞こえた。

(女性!獅音では無いから獅音の前に入ったって言われていたどこかしら?!何より急いでいかなきゃ!)

アタシは走って奥へと進んだ。

───────────────

「いえーい!こんにちは〜!」

男はスマホを持って動画配信をしている。

{キタキタ!}

{今日はどこの攻略ですか〜?}

「今日はぁD級でーす!依頼が入ってね〜今回8人!」

「こんにちは!」

「初めまして〜!」

チームメンバーが数人挨拶する。

{お!リンネちゃんいるじゃん!}

{B級ヒーラー?凄!}

{そこまでか?}

{ほかどれくらいの強さなんかな?}

{そこそこ?}

他の配信者とのコラボともあってコメント欄もいつもより賑わっている。

{どれくらいかかるかな?}

{Dで8人なら20分ぐらいじゃね?}

{確かに}

{ゲートの大きさ的に10分ぐらい普通じゃね?魔石も少なそうだし。}

{一理ある}

「じゃ今回は、10分での攻略目指しマース!」

{キター!}

{あんまり舐めてると怪我すんぞ}

{死ぬなよ〜}

「死なないって!」

8人のチームはさらに奥へと進んだ。

───────────────

「ここ、ホントにDなわけ?」

あまりに大きいマナに疑問を抱く。

(けどハンター協会が間違えるはずない)

そう思いながら走って進む。

ジメジメとした洞窟内のダンジョン。

モンスターをまだ見かけていないのにマナの異様さが鼻につく。

「いち早く攻略しないと...」

考えながら走っていると洞窟の奥から女性の悲鳴が聞こえた。

「まさか俺の前にゲートに入ったチームか?!」

誰も犠牲者を出さないためにも急いで現場に行く。

「加速」

そう呟くと一気に加速した。

───────────────

「うわぁぁぁぁぁ!」

スマホを持った男達が逃げ惑う。

{待ってこれハイオーク?}

{それA級に出るモンスターじゃん!}

{変化型ゲートにでも入った?}

「クソッ!魔法が通じねぇ!」

「刃も通らない!」

「ここで死ぬのか...」

{ヤバいって!}

{登録者20万人人気配信者死亡}

{放送事故だろ}

逃げていると剣を持った男がハイオークへと突っ込んだ。

「皆さん!逃げてください!」

{あの子って配信者のシオン君じゃない?!}

{でもC級でしょ?ハイオークには敵わないって!}

「クソ!」

獅音は辛うじてハイオークの攻撃を防いでいる。が、剣の耐久度が段々と低くなり亀裂が入った。

(ヤバい...剣持たない!)

パリーン

剣が折れてしまった。

「しまった!」

ハイオークが腕を振り上げ獅音に攻撃を入れようとした。

───────────────

(急がないと!)

獅音が入ってだいたい2分、床が脆くて本気ではしれないから走力がだいぶ落ちてる。

「襲われてないといいんだけど...」

カキーンカキーン

刃物どうしがぶつかる音がする。

(先に入ったチームかしら?もしかして獅音?)

さらに加速する。

すると目の前に入った光景は、8人の大人たちがその場に座り込み、獅音だけがデカい怪物と戦っている。

パリーン

獅音の剣が折れた。

(獅音が危ない!)

体が動き、モンスターの振り下ろす斧を止めた。

{ス、素手?!}

{A級ハンターでも来たか?!}

{良かった放送事故は免れた!}

{てか服ださ}

配信者の男が持っていた配信画面が盛り上がっている。

「バ、バずってる、、」

「アンタ達!早く逃げなさい!ココはアタシがどうにかするわ!」

アタシはモンスタの斧をそのまま弾き、獅音を抱え離れた。

「兄ちゃん...?!」

アタシは男たちの方へ向かう。

「この子、アンタたちにお願いするわ。早くゲートの外へ出なさい。」

「でもあなたは!」

「だーかーら!アタシはここで食い止める!つべこべ言わず逃げなさい!」

「は、ハイ!」

スマホを持った男たちは獅音を抱えて

出口へと向かった。

「待って!離して!兄ちゃんが!うあっ!」

獅音は急に気絶した。

(恐怖のあまりかしら。でもここから安全に離れさせるにはちょうど良かった。)

アタシはモンスターの方へ見直し、

「さて、モンスターちゃん。獅音を傷つけた罪は重いわよ〜」

関節の至る所をポキポキと鳴らす。

「グオォォォ」

さっきまでモンスターは急に動き叫んだ。

「あらうるさい雄叫び。アタシの力を見るための実験台にもなるから覚悟しなさいよ!」

アタシはモンスターへ向かって走った。

──────────────────

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