第25話 奈由香の過去

「じゃあそろそろ寝よう!」


 との奈由香の発言で俺たちは布団にもぐった。


「じゃあ。恋バナでもする?」


 え? 俺がいるんだけど。


「ちょっと奈由香!」

「いいじゃない。雄太はだめ?」

「だめに……決まってるでしょ」

「やっぱり?」

「うん。もしもさあ、恋バナで俺みたいなタイプ以外の人が好きとか言ったら傷つくじゃん」

「え? 雄太私のことが好きなの?」


 あ、そうなるか。というか、麗華がすごいにやにやしてみてる。これどうあがいても告白になるんじゃあ。


「えっと……そりゃあ、もしもないとか言われたら傷つくじゃあないですか」

「今の間は何?」

「いいじゃないですか! そりゃあ、即答できないでしょう」

「なんで?」

「そりゃあ奈由香はかわいいし、会話も上手いし、モテるじゃないですか!」

「ふーん」


 修羅場だ。ツーかこれ自体恋バナじゃね?


「私も奈由香大好きだよ!」

「ありがとう!」


 それ俺が奈由香好きって事前提の話な気がするけど。


「さてと、恋バナついでに雄太、この中で付き合うなら誰?」


 うん。困った。鈍感とは聞いていたとはいえ、まさかこんなに鈍感とは。これは……どう答えたらいいんだ? だが、本心は答えたほうがいいというのは当然だ。だけど……


「それって答えたら変になりません? てか不和が生じるんじゃ」

「大丈夫でしょ。このメンバーだったら」


 いや、まさに同じ人を好きになっている人がいるんですけど。しかもそれあなたです。


「えっじゃあいいますよ」


 てか、奈由香以外知ってるんだしいいよな。


「あなたです」


 これは実質告白と言ってもいいのでは?


「うれしい! ありがとう!」


 これはどの程度と取ればいいのだろうか。これは友達としての嬉しいとかじゃあ。てか、じゃあ恋人になる? とか言ってもらえないだろうか。


「じゃあ……」


 お?


「今度はどんな話する?」


 そんな奇跡はさすがになかったようだ。まあ高望みしすぎか。


「うーん」


 まあ、次の話を考えるか。とはいえ、よさそうな話が全然思いつかない。仕方ない。俺は元ボッチなのだから。



「あ、そうだ」


 奈由香が思位置たのか?


「昔話とかは?」

「私たちは奈由香の話何回も聞いてるわよ」

「ああそうか。でも雄太が聞いていないかなって」

「じゃあ雄太からまず過去の話を聞いたらいいんじゃない?」

「そうだね」


 というわけで俺の過去を話す流れにはなったが、俺の過去対して面白いことないんだよな。ずっと一人だったし。話すことがあるとするのならば、これかな?


「俺は昔、ずっと一人だったんです。誰とも話せずにずっと小学校時代を過ごしてきました。だから、もう当然の事ながら半分不登校で、学校にはなんとかギリギリで行ってる感じでした。でも、そんな時一人だけをれに話しかけてくれた男子がいたんですよ。でも俺は優希なんてないから、友達にはなれなかった。結局その子も俺に飽きたのか、別の子のもとへと言ってましたしね。結局それで俺には価値がないんだと分かって、なんとなく人と関わる勇気が本当に無くなってしまいました」



 結局不幸自慢みたいになっちゃったな。これでよかったんだろうか。相変わらず俺にはトーク技術が無いな。


「雄太!」


 と、奈由香が抱きついてきた。本当に……


「今は私たちがいるからね」


 優しいな。


「俺は……幸せです」

「ふふ」

「おーい二人とも、私たちのことを忘れないで」


 と、麗華を見る。するとあきれた、ほほえましい? 感じで見てる。これはもうおなじみの光景となってしまったのだろうか。


「ごめん。麗華もハグして欲しい?」

「いや、全然いらない」


 と、麗華は冷たく奈由香の提案を冷たく撥ね退けた。まあ麗華がほほえましく見てる理由、ハグしてほしいとかじゃあたぶんないもんな。


「ツンデレ?」

「本当に要らないから」



「さてと、次は私の過去でも話す?」

「私たちは結構知ってるからいらなくない?」


 さっきから麗華、奈由香に対するあたりが強いな。てか奈由香の話聞きたいな。


「私は聞きたいけど」


 俺が言う前に下村さんが奈由香の提案に同意を示した。


「絵里だけか、聞きたいの。雄太は?」

「俺も聞きたいです」


 もちろん。


「なら決定ね。私の過去も話す!」

「それ後で私も言わなきゃならない感じ?」

「麗華の話も聞きたいけど」

「私は別にいいわ」



「じゃあ話すね。私の小学校時代の話!」

「楽しみです!」


「私は明るい子だった。もう小学校の時はクラスの子全員友達にするっていう勢いでみんなに笑顔を振りまいてた。でもそれは無理だった」


 と、少し悲しそうな声に切り替えていった。


「なんかね、そのうち嫌われたの。友達が多いから偉いんだー? とか、上から目線むかつくとか、いつもいろいろな人と遊びに行ってそれぞれのこと大事にしてないよねとか、ほかにもいろいろなことを言われてね。それで一時的に心が折れて不登校になりかけたの。そこで私はもう友達関係をリセットして友達を減らして、もう後は小中友達なしで過ごした。でも、高校入学前に感じたの。友達いないってつまらないなって。だから麗華がいいなと思って話しかけたの。でも親友は言い方悪いけど選別しようって思って、他の皆とは知り合い程度に留まった感じ。まさか二年になって絵里が友達になってくるとは思わなかったけどね」

「それじゃあ、なんで俺と友達になろうと?」

「それも気になったからよ」

「じゃあ、その厳選された友達になった言うことは胸を張れますね!」

「そうね、でも一つ訂正、親友よ」

「あ、そうでしたね」

「あともう一つ、敬語癖さえなくしてくれればいいんだけどね」

「うん」


 また忘れてたわ。最近言われてなかったし。


「じゃあ麗華」

「嫌」

「即答なの?」

「だって、つまらないし。それなら別の話したほうがいいと思うわ」

「わかった。なら学校の話をしよー!」

「どんな?」

「最近会った面白いこととか」

「別にそれ学校の話じゃない気が……」

「いいじゃない!」


 と、色々な話をして、一時半に俺たちは眠りについた。

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