第6話 恐怖の体験
※ エロ回です。嫌な方は飛ばして下さい。
薄暗い穴倉のような部屋に藤崎は居る。一人ではない。この薄暗い部屋でも黄金に輝く長い髪と、アポロン神も斯くやと思われる美貌を持ったエイリアンと一緒だ。苔のびっしり生えたベッドのような場所に居て、お互い素っ裸で、藤崎はエイリアンに押さえ付けられていた。
この状況で、藤崎が女性に変身させられているのだから、次にはラブシーンが来る筈だ。しかし、経験のない藤崎には、そんなシーンは思い浮かばない。
藤崎の書いた話ではエイリアンは肉食のトカゲだ。藤崎を素っ裸にして、今にもその変身をといて襲い掛かってくる。クアッと口を開けるとギザギザの大きな牙がある筈だ。
死ぬのは嫌だ。しかし痛いのも嫌だ。
ファンタジー向けの想像力だけはかなりある藤崎は、今にもエイリアンのシーヴの顔が、恐ろしいラプトルの顔に変わりはしないかと気が気ではない。
「お前ら、トカゲから進化したエイリアンだろ!? 俺を食べるのか!?」
あまり面白くもない人生だった。いい事なんか一つもなかった。それでも、生きていたらこれから花も咲くかもしれないのに、ここで死んでしまうのか!?
「嫌だっ!! まだ死にたくない!!」
藤崎は甲高い声で喚いた。
「面白いことを言う」
シーヴは藤崎の暴言を余裕で笑う。喚いていた藤崎の顎をクイと持ち上げた。藤崎は思わず息を呑む。
「残念だが違うな。それにトカゲだって雑食も草食もいる。偏見はよくない」
あくまでも整った顔が、ゆっくりと近付いてくる。
食われる!! と藤崎は思った。しかし、牙は現れなかったのだ。
本格的なキスというものも、実は藤崎は経験したことがない。間違えて飼い犬に舐められた事はあったが。
シーヴの形のよい薄い唇がそのまま近付いてきて、藤崎の唇を軽く優しく何度も啄ばんだ。くすぐったいような妙な感覚に悩まされる。
「お前はまだ何も知らないのだ」
低い美声で囁いた。
「知れば変わるだろう」
どういう風に変わるというのか。経験のない藤崎は想像することしか出来ない。しかし今、想像する余裕はなかった。
シーヴの唇がまた降って来て、今度は本格的なキスを仕掛けてきたのだ。シーヴの唇が上唇やら下唇を啄ばんで、舌がそれをなぞる。唇を触れ合わせて、手が顎を掴む。口を開くと舌が口腔に侵入してくる。
甘露なキスに、藤崎の意識は段々蕩けてしまう。エイリアンのくせにとか、トカゲのくせにと思おうとしても、ともすれば忘れがちになる。
身体を疼くような快感が走った。
いつの間にかシーヴに乳房を揉まれている。乳首を揉まれたり摘まれたりされると、段々下半身が熱くなって頭の中に靄がかかる。
「ああ…んっ……」
甘ったるい女の喘ぎ声が、遠くから聞こえるような気がする。シーヴが軽く笑って耳朶を噛む。そのまま首筋へと唇が下りてゆく。肩先で一度、乳房に下りてまた一度、軽く噛まれたような気がした。
シーヴに食べられている。乳房を、乳首を、舌で舐められ、手で揉み拉かれ、唇が歯が喰らうように動く。それなのに、触れられる指先、舐めずる舌先から快感が掘り起こされる。まるで食べられてしまうのが快感になってゆくような錯覚に囚われる。
「ああっ……、なんで……」
意味のない言葉を吐いているうちに、シーヴの手が下半身に下りる。脇腹を通って太股を撫で上げて、股間に忍び寄る。
男の指が触れたそこは、男の藤崎の身体には無かった器官だ。熱く蕩けた内部をゆるゆると掻き混ぜる。
「あああー…やめっ…、変になるー……」
身体が熱い。赤く染まりそうなほど。何もかも全てが、快感に押し流されてしまう。
やがてシーヴの指が出て行くと、藤崎のそこに熱く滾った昂ぶりが押し当てられた。
トカゲにそんなものがあるのかと思う暇もなく、藤崎の足を押し開いて侵入を開始する。
「やっ…、やめっ…、痛い……っ!!」
まるで身体が引き裂かれるような感覚に藤崎は喚いた。押し流された恐怖が戻ってくる。
食べられてしまう。自分はこのトカゲに食べられてしまう。藤崎の頬を涙が伝う。変な話なんか書かなければよかった。本を読んで我慢していればよかった。
「止めてくれ…、痛い……、た…助けてっ!!」
藤崎は自分を引き裂き喰らおうとしている男に哀願する。
だがシーヴは遠慮会釈なしに藤崎の身体を貫き引き裂いたのだ。
「ひぃー……!!」
薄暗い部屋に藤崎の甲高い悲鳴が上がる。
軽く頬を叩かれて藤崎は目を覚ました。
藤崎は自分が死んでしまったかと思っていたが、状況は変わっていなかった。
目の前には相変わらず金髪美形のエイリアンがいる、というか押さえ付けられている。
シーヴは藤崎に軽くキスを一つ寄越すと、体勢を整えて動き始める。
「ぐっ……痛…、痛い、動かないでっ…くれ……!!」
藤崎は思わず喚いた。食べられるのはこれからだったのか。
非常に容量があって硬いものが、藤崎の秘所を蹂躙する。まるで藤崎の身体を引き裂くようで、一瞬息が止まりそうになる。
逃れようと身悶えしてベッドの苔を掻き毟る。
シーヴは藤崎を押さえつけて、更に激しく攻める。
「やっ…止めて……くっ……」
あまりの苦しさに藤崎の声は途切れがちになる。
苦しくて苦しくて堪らない。なのに揺さ振られている内に、身体の奥の方からじんわりと別の感覚が痛みに取って代わる。
それは先ほど唇や胸を愛撫されたときの熱とよく似ている。その熱は、ゆっくりと藤崎の身体を覆い尽くしてゆく。
「ああ……、身体が…変……」
シーヴが藤崎の顔に忙しなくキスを送る。その身体を掻い込んで激しく揺さぶった。
熱い。頬も唇も身体も、シーヴに穿たれているそこも、どこもかしこも今にも燃え出しそうに熱い。
「あああー……」
藤崎の意識はどこかにぶっ飛んだ。
気絶していたのは、ほんのわずかな間だったらしい。隣に金髪美形の美丈夫が横たわっている。藤崎を見て、にっこりと惹き込まれるような笑みを寄越して言った。
「心配するな。元の所へ帰してやる」
藤崎はエイリアンに食われなかったばかりか帰してくれるという。
その言葉を聞いて、藤崎はどういう訳か嬉しくなかった。最中にはあれほど願ったのに。
「逃がしてくれるのか」
「別にお前を攫うつもりはなかった」
「いいのか? お前が男だとばらしても」
そう言うと碧い瞳が覗き込んでくる。
「お前はそんな事はしないだろう」
たいした自信家である。だが、それは別の意味で本当だろう。藤崎がそんなことを喚いても誰も信じたりしない。せいぜい頭でも打って、打ち所が悪かったのだと同情される程度だ。
「ちょっと気が向いた。お前が気に入った。それだけだ」
馬鹿にされているような気がしたが、元々このエイリアンは、藤崎の人格なんか無視して伽をしろとかほざいたのだ。
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