お見舞いに行くね。

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事故なんて、わたしたちには無縁だって思ってた。

でも、そんなことないよね。あたりまえだよ。

びっくりしたけど、生きててくれてほんとによかった。

残業続きがようやく終わって。せっかく羽根を伸ばせたのに。

伸ばし過ぎだよ。スピード違反なんて、格好悪いよ・・・。

一緒だった人は・・・残念だったね・・・。

失ったものは、かえってこないから・・・。

きみが起きたら、なんて伝えればいいんだろう・・・。

わからない。でも、今はきみの傍らにいたい。こうして。

きみはずっと呻いていて、とても痛そう。包帯だらけのきみ。

呼吸。眠っているのに、苦しそうにゆがんだ顔。

痛いよね、痛いよね・・・。

でも、何もできない。でも、何かしたくて。してやりたくて。

だからわたし、千羽鶴折ったんだよ。

見下ろす鶴たちが、この地にあなたを留めてくれますように。

そう願ったの。

見下ろせば、このまえまで、わたしを抱きしめた腕。

日焼けの腕が、赤くただれて。

わたしを見つめたその目も、ふさがってしまったね。

でも、わたしはそれでもいいんだよ。

きみがいてくれるだけで、満足なの。

それはずっと、変わらないの。

ねえ、知ってる？

この千羽鶴、わたしが折ったの。

たくさんたくさん、願ったんだよ。

きみがたくさん、生きててくれますようにって。

ねえ、知ってる？

その鶴、一羽足りないの。

ねえ、知ってる？

失ったものはかえらなくても、捨てたものはかえってくるんだよ。

ねえ、聞こえる？

たくさん苦しんでくれて、ありがとね。