子供の悩み Aパート

【5がつ8にち きんよう しずしょうがっこう さんかんあとふんやすみ】


「うれしそうだなほく。そこそこてんれたのか?」


 たい耀ようが、うれしそうなほくにそうたずねると、ほくずかしそうにかえす。


「コレならぶん、おねえちゃんにバカにはされない」


 そういながら、ほくたい耀ようせた4きょうしろくろテストのてんは、すべて80てんぜん


「へぇ、なかなかじゃないか。ぼくは……」


 たい耀ようはそうって、ぶんのテストをせようとするが……


「それはいいよべつに、どうせぜん95てんじょうなんだろうし。たい耀ようくんかおるくんちゃんはてもおもしろくない」


 ほくがそうさえぎったためたい耀ようすこげんそうにう。


おもしろくないって、ともだちやつだなぁ……」


 そしてせきちかようくと、ことつづける。


「そうだ、ようはどうだった?」

こくかんさんすうは70てんだいしゃかいかないでくれ」


 ようはそうこたえながら、テストをつくえしにんだ。

 そのようたい耀ようは、ようをからかうようう。


「よっぽどわるかったのか?」

ほくたい耀ようこんかいのテストのへいきん、70てんだってうちかあちゃんにせつめいしてくんない」


 そしてようは、すこしんみょうおもちでそういった。


  わいわい

   がやがや……


 ねんくみきょうしつは、テストのはなしでりでる。

 そんななかみおこえきょうしつひびく。


かえせ!」

みんなろよ、ミオッチのこくテスト」


  みおやすこくテストのプリントをうぼわれ、まわしていた。


「12てんだぜ、12てん!」


 そうってみお鹿にしたやすは、うしろからようめにされ、プリントはたい耀よううぼわれる。


ぐるしい!」


 ようやすにそううと、たい耀ようことつづける。


「まったくだ。ほら、みお


 たい耀ようからプリントをわたされ、 みおはおれいう。


「……ありがとう」

みお。おまえすこしはかんおぼえようと……――」


  そうみおに、たい耀ようせっきょうはじようとしたとき……


「おまえたち。チャイムがるぞ、せきけ!」


 わたなべせんせいが、きょうしつはいってた。


  キーン コーン カーン コーン

   ガラガラガラガラ


 ひらいていたわたなべせんせいめると、どもたちぶんせきく。


じゅぎょうまえに、さんかんかえしたテストについて、すこはなしがる」


 きょうたくしゅっせき簿いたわたなべせんせいは、そうってはなはじめた。


こんかいのテストのクラスへいきんてんは80てん。このテストはせんせいが、みんなおなとしなら、75てんぐらいれるとおもってつくったテストだ。へいきんてんおおきくげたのは日向ひゅうがみやもとくろさわさんめいで、こくさいかいみおこくうかかんひどい」


 するとあおいが、わたなべせんせいもんう。


せんせい! そううのはひどいんじゃない!」


 しかしわたなべせんせいは、かおはなしをつづける。


しまはなしはさいまでいてくれ。しゃかいさいようで、へいきんてんいちばんわるいのはやす、おまえだ」

「ウソだぁ!」


 おどろやすクラスちゅうもくあつまり、やすう。


「オレべんきょうにがだけど、ようやオミッチよりテストのへいきんひくいなんて……」

「おまえみおほかのテストのてんすうかくにんかっただろう。みおほかのテストのてんは70てんぜんでけしてわるい。あいわるところだけていると、いまみたいなことる。みんなぶんりにせんせいことかんがえてくれ。それとみおまえは、もうすこかんおぼえるりょくはしてくれ……」



 ★★★★



しずしょうがっこう ねんいちくみ かんじゅぎょうちゅう


(「……と、ことったのよ。それでかぜまるてんまるおにまる、…………てことかんがえたんだけど、おねがるかしら?」)


 じゅぎょうさいちゅうろうはスセリからそうねんけ、ねんかえす。


(「かりました……ですが、それならわたしてんまることりるはずでは?)」


 さらつぐねんつづける。


(「しょうせないじょうしょうたいかいしたからとって、ツクヨミさまふかかかわるのはとくさくではありませんが……」)

(「それはわたしかいしています。あまりやりぎるとオモイカネにもあやしまれねないし」)


 そうねんかえしたスセリに、こんきよしげねんう。


(「だからがいしゃおれたのむということか。たしかにおれらな、あのかみなにかバレてもしはく」)


 きよしげのそのねんに、スセリはふざけたかんじでねんかえす。


(「そうえばいろおとこさん、ごとは?」)

(「そうおもうなら、こんなかんねんおくってるな。ゆうけて、きゃくたせている」)

(「あらゴメンなさい。からのていは?」)

(「とことは、あばれろとことか?」)

(「かぜまるからはなしはいています。わたし貴方あなたが、なにかんがえていようがかまわない」)

(「かった……」)


 そうねんかえきよしげに、つぐねんちゅうする。


(「コレはがっこうこうちょうとしてねがおう。如何どうしんよ、じゅぎょうあまつぶさんでくれ」)


 つぐにそうねんわれ、スセリとのねんったきよしげは、つぐかってねんう。


(「そのねがい、とどけよう」)


 そしてろうけて、ねんせつめいはじめる。


(「かぜまるわるいがさきほどのスセリのはなし、すこ此方こちらからへんこうる」)



 ★★★★ 



しずしょうがっこう ねんいちくみ ひるやすみ】


 ときが、そうためきょうしつうしがわおくられている、つくえうえさかさまさの椅子いすの1つにこしけ、おなくみおんなたちはなしていると……


(ん? アレは……)


 ベランダからねんくみかう、ろう姿すがたけ、おもう。


「それでねふしさん……」


 けんばなしをしていたおなくみおんながそううと、ときもうわけなさそうに、そのおんなう。


「ごめんなさい、ちょっとようたみたい」


 そしてつくえからり、ときはベランダにた。

 すると、きょうしつなかからからないよように、かがんだろうねんくみきょうしつのベランダがわまどたたいている。


  コン コン


 おなじくかがんでときき、ときかってしゃべいでのジェスチャーをした。


  ガラガラガラ


 まどひらくと、ろうおおごえともがりさけぶ。


「ぅわ!」

「わぁ!」


 まどけたほくは、ろうおどろいてこえげていっ退き、そんなようときは、あきれたかおろうく。


「アンタ、なにやってんのよ……」


 するとろうときかってほほんだあとほくかおう。


「やぁい、っかかってやんのって……なんだ、ケンカか?」


 ねんくみきょうしつでは、ようたい耀ようやすあらそっており、みおがオドオドしながらそれをていた。


「コレ、どうじょうきょう?」


 ろうほくにそういっぽうときはあることかいし、ほくかいまでどうする。


ようで、さそされたたいね……)


 そして、そうかんがえながらときは、ろうさきほどことって、ねんくみきょうしつかくにんする。


 ときことかくにんしたほくは、さんにんかってせつめいはじめる。


じつはテストがかえってたんだけど、やすくんがそのことようくんとミオッチにもんしちゃって……」


 ほくがそううと、ときく。


たい耀ようなんやすってあらそってるの?」

さいしょはミオッチにっかかってて、かねたたい耀ようくんたすけてくれたんだけど……」

ほんとうなかいのか、わるいのかかんないふたね……」


 そこまでったときは、みおむかかってう。


「ほらみお、アンタもなんとかかえしなさいよ」


 ときことようたい耀ようみおやすにんときほうかおけた。


「そんなことっても……」


 そうみおちからうと、すこおこった調ちょうたいようみおう。


ふしさんのとおりだ、おまえはもうすこしんを……――」


 しかしそのことは、ちゅう大人おとなこえさえぎられる。


なんだ、よわものイジメとはかんしんしないが?」


 たい耀ようことさえぎったのは、やさおとこきよしげ

 きよしげきょうしつそとろうに、ろうたいそうぶくろってっていた。


清重きよしげなんがっこうに?」


 ろうそうにそうくと、清重きよしげきょうしつはいってう。


「おまえたいそうぶくろわすれたから、ってたんだ」

「おい、今日きょうたいいくはねぇよ!」


 ずかしそうにろうがそうかえすと、きよしげすこかんがえるりをしてからさらことかえす。


わるわるい、かんちがいだった。まぁいちはキチンとようるつもりだったんだが」

「そううのは、ずかしいからめろ!」


 かおあかくしておころうに、きよしげはクスクスわらう。


「おまえともだちれてたんで、ほんとう上手うまくやっているのかになってな」

「おまえが、れていつったんだろ!」

ちゃん。ろういっしょあそんでくれてありがとう」


 きよしげろうし、そうってちかあたまでると、ろうにらまれる。

 そんなきよしげろうながら、ときおもう。


(スセリは、わたしたちしょうたいかいしてたみたいだから、こんしゅうちゅうなにかアクションがるとはおもっていたけど……)

「あのぅ、貴方あなたは?」


 ときがそうきよしげくと、きよしげほほんでかえす。


「そうえばきみと……」


 そこまできよしげは、こんみおほういてことつづける。


きみしょたいめんだったね。わたしいばら きよしげろうしんせきさ」


 わったきよしげは、またときなおり、ふだかくにんしたどうをしたあとときちかかみれてう。


ときちゃん、いていたよりれいあかかみをしているんだね」

わたしのこのいろかみめてくれてありがとうきよしげさん」


 ほほんでそうかえしたときと、きよしげ姿すがたどもたちには、まんの1コマのようえた。

 そう、どもたちには……


なにども口説くどこうとしてるんだ……」


 ろうすこわるそうにそううと、きよしげときからはなれ、ろうもんかえす。


「おまえわれるすじいはい!」


 そうったあときよしげみおちかはなける。


「こんにちは、あまいけ みおくんだよね」


 みおはそうわれ、おどろきながらうなずき。とききよしげそうにく。


みおい?」

みおくんいえと、ちょうないかいいっしょなのさ。うちおれだいひょうしてちょうないかいさんすることってね、みおくんりょうしんからはなしをいたんだよ」


 そうわったきよしげおもう。


(さて、コレでせつめいんだ。あとはなしのけをつくるだけか……)


 きよしげはそうおもいながら、たい耀ようかおしんけんかおう。


「もしければ、わたしなにがケンカのげんいんおしえてくれないか?」

きよしげさん、なんでそんなことくの?」


 とききよしげにそうくと、きよしげときほういてこたえる。


流石さすがいのケンカをけ、ほうするほどわたしけいはくではないよ」


 それをいたようが、きよしげう。


きよしげさん、じつはさ…………」


 ケンカのげんいんしゃべしたようあせり、やすすこしずつそのから退いてく。


 いっ……

  ……


げるなやすおとこらしくない」


 しかしたい耀ようつかまり、とうそうしっぱいした。


ほど、それできみたちはケンカしてたのか…… たしかにそれはやすくんわるい。ぶんせいせきあいよりわるいからって、あいのカンニングをうたがうなんて」

なんだよ、かんけぇねぇヤツのクセして!」


 きよしげことやすもんうが、そんなやすようおこってもんう。


「オレのテストのてんもオメェにかんけいいだろ。だいたいそんなかっこうわることしてまで、おんなにモテようなんておもわねぇよ。ケンカめようとしたオレにまでたるんじゃねぇよ、ともだちじゃなかったらぶんなぐってるところだぞ……」


 ようことわると、たい耀ようすこおこった調ちょうやすおしえる。


みおはバカなイタズラはしてたけど、ぼくかぎねんせいときのテストはそんなにひどくなかったぞ。かんあいわらずだけど……」

「だ、そうよよしざわくん?」


 ときにそうかれたやすだが、うつむいてへんをするようい。

 そんなやすね、きよしげときかってたのむ。


わるいがときちゃん、このクラスたんにんしょくいんしつびにって……――」

「それはめてくれ!」


 しかしやすがそうってきよしげことさえぎったためきよしげやすかってすこつよめにう。


「だったらゆるしてもらえるようこうどうしたら如何どうだ。こうどうにはせきにんきモノだ、ようくんともだちならそんなにわるじゃないだろうし」

「……わるかったよ」


 やすすこいてようにそうあやまり、ようすこおこったかおやすかえす。


はねぇぞ」

みおわるかった……」


 そしてやすみおかってそうあやまり、みおうなずへんをする。


「……うん」


 みおへんかくにんしたきよしげは、ろうほうせんけてう。


「それじゃぁください、わたなべせんせい


 するとクラスぐちのドアのものかげから、わたなべせんせい姿すがたあらわす。


わたなべせんせい何時いつからたの?」


 ときわたなべせんせいにそうくと、わたなべせんせいずかしそうにう。


「ついさっきだ。かつしんぱいしてびにたんだ……」


 そうせつめいわったわたなべせんせいは、こんきよしげかってしゃくをし、はなしをつづける。


「それより、がいしゃ貴方あなたに、どものケンカのちゅうさいをさせてしまいもうわけない」


 するときよしげも、わたなべせんせいしゃくかえし、へんかえす。

 

此方こちらこそ、がましいことをしてもうわけない。わたしいばら きよしげい、ろうしんせきえばかっていただけますか?」

「とことは、こうちょうせんせいしんせきかたですよね、如何どうして此方こちらに?」

わすものとどけるいでに、ようににったんですよ。しかし、今日きょうたいいくいとおこられまして」

「それなら、宿しゅくちょくしつでもしましょうか?」

「いいえ。わたしどもたちはなしたいので、おかまいなく」

「そうですか……」


 わたなべせんせいはそうへんをすると、きよしげとのかいえ、こんやすかってう。


やすせんせい所為せいわるかった」


 われたやすは、おもかえす。


「どうことだよ?」

「おまえげんいんとはえ。クラスみんなまえで、テストのへいきんいちばんわるいはぎたがしてな」


 そうわたなべせんせいかえされたやすは、わたなべせんせいすこずかしそうにう。


「そううんじゃ……」


 そうったやすは、ようみおいちべつしてから、だんしていたたい耀ようほどき、そのからげてく。


やす!」


 すこあわてたわたなべせんせいはそううが、けることはせず、きよしげはそのようう。


けなくていんですか?」

「それでもんだいかいけつすればそうするんですが…… ようみおわるいけどとなりのきょうしつで、すこはなしをかせてくれるか?」


 わたなべせんせいにそうたのまれたようみおは、うなずへんかえす。


かった」

「……うん」

「それでは、わたしれで」


 きよしげにそうっておをしたわたなべせんせいは、ようみおともきょうしつった。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る