第36話:果実王の裁き《フルーツ・ジャッジメント》

「くらえ! スイメロン爆弾!」

俺はスイメロンをコントロールし、勢いよくドリアン王にぶつけた。


スイメロン爆弾はドリアン王に直撃し、一瞬にして爆発が起こる。巨大な火柱が空を貫き、炎が猛烈な勢いで広がる。爆風は周囲の壁をなぎ倒し、煙が舞い上がる。


しかし、煙が徐々に晴れると、驚くべき光景が目の前に広がった。ドリアン王は無傷で立ち、その顔には笑みが浮かんでいたのだ。

彼の果皮は爆発から完全に防護し、一切の損傷がないことが分かる。


炎の中に立つドリアン王は、煙を纏っているかのように見え、その姿はまるで不死身の存在とも思える。彼の目は冷酷な光を宿し、口角からは嘲笑のような笑みが浮かんでいる。


「ふふふふふ、甘い、甘すぎるわ! スイカの力というのは、この程度か?」


俺は思わず驚愕し、ドリアン王が無傷で笑っている光景に言葉を失ってしまう。彼の力の前には、俺たちの努力や攻撃は無力なのか?


爆発が起きた場所にはただの破壊と混乱が広がっているが、ドリアン王はその中央に佇んでいる。彼はまるで自然の法則を超越し、俺たちが考える限りの手段をもってしても倒せない存在であるかのようだった。


「もう攻撃は終わりか? それでは、こちらからやらせてもらおう!」


俺が驚愕しながら立ち尽くしている間、ドリアン王は冷たい笑みを浮かべながら、そう宣言した。

彼の手のひらからは濃密なエネルギーが溢れ出し、それが空中に集まっていく。そして、そのエネルギーが一点に集中し、瞬間的に光の柱となって天空に突き抜ける。


「大いなる創造の前に、大いなる破壊を! 果実王の裁きフルーツ・ジャッジメント!」


光の柱が地上に降り注ぐと、その周囲には強烈な衝撃波が広がり、大地が揺れ動いた。

衝撃波が収束すると、目の前には驚異的な光景が広がっていた。ドリアン城は一瞬にして灰燼と化し、地面は深いクレーターに変わっている。そのクレーターの中心には、ドリアン王が佇んでいる。


彼の体からは圧倒的な力が溢れ出し、その姿はまるで神々しさを帯びているかのようだった。果実の力が最高潮に達し、彼の身体は光に包まれ、まるで宇宙そのものを象徴しているかのように輝いている。


「これが、最終ドリアン形態の力か……。果実王の絶対領域フォレストス・ドメインが展開していたら、スイメロン爆弾といえども効かないようだな……」

俺は思案した。


「そういえば、ドリアン王に誘拐されていたとき、彼の図書館でこの奥義のことを読みましたわよ!」

メロンナ姫が思い出したように言う。


「本当か? どんな技なんだ?」

果実王の絶対領域フォレストス・ドメインとは、ドリアン王が自らの周囲に作り出す無敵の防御壁のことですわ。この防御壁はドリアン王の果実の思考結晶であり、どんな攻撃も跳ね返しますわよ。この防御壁を破ることができるのは、ドリアン王以上の果実の力を持つ者か、ドリアン王の心に触れることができる者だけですわ」


俺はその情報を聞き、動揺した。

「なんてことだ……! 実質的に無敵じゃないか!」


スイカの力といえど、果実王の絶対領域フォレストス・ドメインを打ち砕くことはできないのだろうか? それならば、俺たちの負けは決まったようなものだ……。


「ふはははは! どうした? スイカ太郎よ! お前の言っていたスイカの力というのは、この程度のものだったのか?」

ドリアン王が嘲笑する。


もう、終わりなのか?

これで、終了なのか?


いや……。待てよ……?

そのとき、俺は、この状況を逆転させ、ドリアン王を倒し、勝利へと至るやり方に思い至った!

たった一つの冴えたやり方を。

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