この世界に存在する音
ゆきのともしび
この世界に存在する音
スマートフォンのシャッター音が聞こえる度
こころのどこかを
消耗する
内側のなにかひとつが
かちりと減る
機織りのカタカタという音は
秋に舞い落ちる葉のように
鮮やかにこころに降り積もってゆくというのに
都会の券売機から出る
急かすような女性の声
スーパーで鳴り響く
つめたい音楽。人間の声
常にどこからでも聞こえる
あらゆる機器から発せられる
ザラザラとした
刃物のような音と音楽
この世界は
こころをすり減らす音と
きらきらとした
羽毛がふわりと降り積もるような音の
ふたつに分かれているのだろうか
だとしたら
わたしの声は
奏でるピアノの音色は
いったいどちらに値するのだろう
彼女にとって、わたしの音が
やさしく降り積もるものだったらいいと
そっと願っている
この世界に存在する音 ゆきのともしび @yukinokodayo
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