第7話 様子のおかしい冬野さん②

僕には冬野さんの考えてる事があまり分からない。特に氷の女王を演じている時は全くと言っていいほどに彼女の行動の意味を理解できない。


休み時間中スマホを手に取っているのに触らず僕を睨みつけているのだから。


冬野さんほんとどうしたんだろ.....。学校でスマホを出すの初めて見たし....でも何で触らずにずっと僕の方見てきてるんだろ。


素の冬野さんを知っている僕にとって今更彼女を怖いとは思わないが....ここまでじっと見られてしまうと少しむず痒さを感じる


さすがに気になってしまった僕は要らないプリントをちぎり『どうかした?』と書いて冬野さんに渡した。


それを見た彼女は少し不思議そうな顔をし、何かを書き僕に渡してきた。


そこには『どういう事?』と書いてあった。


え、もしかして無意識....。それはそれで驚きだな....。


僕は『ずっと僕の方見てたから』と書いて冬野さんに渡した。


それを見た彼女は目を見開いたと思ったら顔を手で隠し俯いた。


(う、嘘でしょ!私何してんの!!)と冬野さんは心の中で叫んだ。


どうしたんだろ冬野さん。手と黒色の長い髪で彼女の顔が完全に隠れ表情が読めない。


すると冬野さんが紙切れを僕に渡してきた。


開いてみると『ごめん気づいてなかった』と書いてあった。


ほんとに気づいて無かったんだ....。僕は少し笑いそうになったがそれを頑張ってそれを堪えた。





放課後となりやはり冬野さんは帰ろうとしなかった。


やっぱり何かあるみないだ...。


そうしてクラスから人が居なくなった後僕は冬野さんに聞いた。


「立花くん!」と声を上げる冬野さん。


冬野さんの頬が少しつづ赤くなる。


「ど、どうしたの?」


急に声上げたので僕は少し驚いてしまった。


「そ、その...」と言い冬野さんはカバンからスマホを取りだした。


冬野さんがもう一度口を開く。


「た、立花くん....その....えっと...こ、交換」


「交換?」


ものすごく恥ずかしそうにする冬野さん。

本当に恥ずかしがり屋だなぁ。と僕は思い少し微笑ましくもあった。


「れ、連絡先....教えてくれませんか...」と改まった口調で小さく言う冬野さん。


「連絡先?...ああ、良い...」


すると冬野さんが僕の話しを遮り口を開いた。


「べ、別にもっと仲良くなりたいなぁとか家に帰っても話したいなぁとかそんなんじゃなくて私どじだから今日みたいに間違えて教科書持って帰ったりするかもだし...」


あたふたしながら早口でそう言う冬野さん。

恥ずかしさを誤魔化そうとそう言っているみたいだが逆に本音が漏れて閉まっている。


「冬野さん落ち着いて」そんな彼女が面白く僕は笑ってしまった。


するとハッ───とする冬野さん。


「ご、ごめん」と言い小さくなって椅子に座り目を泳がせる冬野さん。


「良いよ連絡先、僕もそれ頼もうと思ってたし。後いつでも連絡してよ。冬野さんと話すの楽しいからさ迷惑とか思わないで」


僕がそう言うと冬野さんが目をキラキラさせ口を開ける。


「ほ、ほんと!!」


そう言い冬野さんは勢い良く椅子から立ち僕に顔を近づける。


───近っ!そんなに嬉しかったのかな...?

それにこう見るとやっぱり美人だよなぁ....あ、違う違う。


「冬野さん落ち着いて...」


今日の冬野さんはテンションがおかしい。


すると我に返ったのか急に顔を真っ赤する冬野さん。


「ごめん....」と言った後「今日私おかしいよぉ...」と唸る冬野さん。


自分でも気がついたみたいだ。


そうして冬野さんと連絡先を交換した。


満面の笑みを浮かべ嬉しそうにスマホを覗く冬野さん。


こんなに喜ばれるとちょっと恥ずかしいなぁ。


その後も少し冬野さんと話しをしていると教室の外から

パシャ───という音がした。


何だ....。僕は後ろに振り向いた。でも視線の先には何も写ってはいなかった....。


「どうかした?」と冬野さん。


どうやら彼女には聞こえていなかったみたいだ。


気のせいか.....。


そうして僕と冬野さんは帰ることにした。念の為教室の外をキョロキョロと確認したが何も無かった。


やっぱり気のせいか。


僕と冬野さんは教室を後にした。


(あ、危なかったぁ)と物陰で一人安心する亜麻色の髪の少女。綾香だ。


(あの和樹が最近直ぐに帰らないから怪しいと思ったでたけど....。冬野さんってこんな笑顔見せるんだ)とスマホを覗きながら心の中で呟く綾香。


あの時の僕は気のせいだとスルーしたパシャという音。

その音の正体はカメラのシャッター音だったのだ....。



冬野さんと別れ家に帰った。姉さんはもう家におらず僕は胸をなでおろした。


これでしばらくバレる心配はないかな....。。


家で少しくつろいでいるとスマホが鳴った。


何だろ。僕はスマホを付ける。


冬野さんからだ。


彼女から『よろしく』と送られてきていた。


僕も『よろしく』と返した。


その後返信はなかった。





朝、学校へ行った時ちょっとしたアクシデントが起きた。


ニヤリとした顔の綾香に突然呼ばれたのだ。


どうしたんだあいつ....。あの顔してる時だいたい何か企んでるんだよなぁ。


廊下に出ると綾香は口を開ける。


「ねぇ和樹最近冬野さんと良く話してるよね」とニヤついた顔をする綾香。


「そうか?気のせいだろ」


「じゃあこれは何かなぁ〜」と綾香はスマホの画面を僕に見せた。


───っ!!バレてる....。


腹が立つ顔をする綾香。


昨日の音、こいつ写真撮ってやがったのか。


綾香のスマホに写っていたのは僕と冬野さんが話している写真だった。


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