第5話 Scène de foule 群衆の戯れ


 前回からのあらすじ。


 ツバキのスキル、等価交換を行うため、ツバキとアニエスは魔物を狩りまくった。

 いわゆるモンハンを行ったわけだが、色々とツッコミどころはあった。 それは 調理 と 錬成だ。 そんな都合の良いスキルがあったんかーい!? みたいな?

 んな訳で、無事アニエスのお洋服も出来上がり、いよいよ初めての街に入るようです。

 そんな事よりも気になるのは、ツバキはアニエスの服を脱がしたのだろうか? 気になるところはそこだが、そろそろ街の関所に到着したようです。 

 町の名前は『ブラックフライ』。

 ここまで言ったら、デーをつけちゃおうぜ! 的な?




      🏙️




 ブラックフライの関所。

 

「通行税は銅貨2枚だ。」


 偉そうな小太りの男がアニエスに言う。

 アニエスを見る目が気に入らないが、ここは我慢しておこう。


 ピコン!

「マスター、ピコンです。」

「はい、知ってます。」

「あの関所の小太りの男、アニエスをスケベ丸出しの目で見ております。」

「だよねー。 何だかムカつくねー。」

 ピコンさんと念話で話していると、アニエスが話しかけてきた。


「ツバキ様、街に入るには通行税が必要なようです。」

「りょ。 僕はわからないから、アニエスがここから出しておいてくれる?」

「かしこまりました、ツバキ様。 巾着をお預かり致します。」

 そう言って、アニエスが銅貨2枚を小太りの税関員に渡した。


「ハハハ。残念だが、キサマ等には少し話があるから、関所事務所に行け。」

「僕たちは話がないので、嫌です。 どうしてもと言うなら、銅貨2枚は返して下さい。 僕らは次の街に向かいます。」


 僕がそう言うと、税関員は怒った顔をして、警笛を鳴らした。


 ピー! っと、笛が鳴ると同時に集まる衛兵たち。

「こいつらを捕まえろ! 投獄するんだ! 女は事務所に連れて行け!」


 ピコン!

「マスター、ピコンです。」

「はい、知ってます。」

「あのマメタンク、どうやらアニエスが気に入ったようですね。 アニエスったらモテ期到来的な? うぇーへっへっへっ。」

「マメタンクって…。今日日きょうび言わねぇな。」

「ツバキ様、アニエスです。」

「はい、知ってます。」

ツバキ様以外の男に触れられたくありません。 こいつらはトッチメチンで宜しいでしょうか?」

「アニエスさんや? トッチメチンとか、どこで覚えるんですかえ?」

「すっすみません! こいつらを肉塊に切り刻んでも宜しいでしょうか?」

「いや、やめて。 僕が話をつけてみる。 ダメだったら、銅貨を取り返して、他の街に向かおう。」


 そんな訳で、取り囲まれている僕とアニエス。 あっ、ピコンさんもいます。

 関所で僕らの後ろに並んでいた人たちは皆、可哀想に…。 と言わんばかりの顔をしている。


 衛兵たちが僕らを取り囲んだ。

「女を置いて立ち去るか、ここで捕まり、ブタバコに入るか選べ!」


 はっ? ここって関所でしょ? 街を守る人たちじゃないのか?


「もしかして、あんたらは盗賊か?」

「はぁ? いいからその女をよこせ!」

「この娘は俺の大事な人だ。 お前に渡すわけが無いだろ?」


 ピコン!

「ウェーイ! アニエスマッカッカ! ヘイヘイヘイ!」

「ピッ、ピコンさん、やめて下さい! 恥ずかし…。 って言うか、ツバキ様、私もツバキ様が一番、大事でございます!」


 何だか後ろが、バリバリ盛り上がってね?

 

 ピコンさんとアニエスが盛り上がっている所で申し訳ないが、僕はストレージからプラチナソードをだす。


「僕たちを囲んでいる君たちも、マメタンクの仲間か?」


 僕の問いかけを無視し、みんなアニエスをいやらしい目で見ている。

 そして、マメタンクが号令をかける!

「お前たち、やっておしまい!」

 

 いや、何でオネエ語なんだよ、マメタンク!?

 それはそうとコイツらはやる気があるのか? 大木槌を持った奴なんて、持ち上げられていないじゃん? 偉そうにしていた割に、情けないな…。


 とりあえず、1人づつ片付けるか…。 が、最初に切り掛かってきたのは3人だった。 

 いやいや。僕が退けたら、君たち同士討ちですよ? すげえな衛兵。

 僕は3人の剣を避けると、思ったとおり、お互いに仲間同士で切り付けたようだ。 

 次に来た攻撃は火の魔法。 僕を目掛けて、火の玉がユラユラと飛んできた。

 この魔法使いは何をしたいのかわからない。 こんな魔法で僕に何をしたいんだ?

 しかもドヤ顔で僕を見ている。 


「ヤバい。 めんどくさくなってきた。」


 僕は周りの衛兵、約10人ほどを刀背打みねうちし、マメタンクの元へ行った。

 

「銅貨2枚を返すか、ここで死ぬかだ。 0.1秒以内に答えろ。」


 ピコン!

「マスター、ピコンです。 0.1秒経過しました。」

「わかっている。 こいつは斬る!」


 唖然としているマメタンクの鎧の肩の部分をプラチナソードで切り落とした。


 腰を抜かし、座り込むマメタンク。


「銅貨2枚を返してもらおうかな?」


 僕がそう言うと、背後から殺気を感じた。


「お兄さん強いね。 それともこいつらが弱すぎなのかな?」  


 突然、殺気と共に現れた男。 身なりは良さそうだが、着こなしはチンピラ風だ。


 ピコン!

「マスター、ピコンです。」

「はい、知ってます。」

「彼は執事バトラーです。 どこかの貴族に仕える者だと思います。」


 ああ…。 なるほどね…。


「マメタンクたちの上司ってやつだね? そしてこの街の領主の執事バトラー兼、用心棒かな?」


「ツバキ様、アニエスです。」

「はい、知ってます。」

「ツバキ様。 わたくし、アニエスもツバキ様を大事に思っております。 そして、お慕いして…あります…。」


 えっ? 嬉しいんだけど! 

 てか、アニエスさん噛んでますよー?

 僕の袖を摘みながら言うアニエス。

 とても可愛くて、僕も愛おしく思ってますよ。

 

 でも、今は空気を読もうか…。



 











 

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