王国編

第23話 ペン卓会議、荒れる

 ペン子が氷山島を去ってから数日後。

 ここ、氷山島では、ペンギン達によるペン卓会議が開かれており――


「一体、何を考えているの! ペルドレッド!」


 ――開始早々、ペレスは怒鳴り散らしていた。

 

「ガタガタうるせぇぞ、ペレス? たかが追放ぐらいで騒ぐんじゃねえよ」


 眉のような黄色の羽毛をいじりながら、吐き捨てるように言ったのは、ペン卓の騎士ペルドレット――ペン子を追放するように進言した張本人だった。


「ふざけないで! あの子がどれだけ、この島のために尽くしてくれてたか、分かって言ってるの!」

「あいつがこの島にいようといまいが、変わらねぇよ。俺たちペン卓騎士がいれば、この島の平和は守れるんだからな」

「はっ! あんたみたいな戦闘狂がこの島にもたらしてくるのは、厄介事ばかりじゃない。守るどころか、破壊することしか能がないあんたより、ペン子の方がよっぽど相応しいわよ!」

「……何だとこのアマ!」

「落ち着けって、二人とも!」


 翼を広げ、一触即発の状態でにらみ合う二人。

 そんな若人達の間に入ってきたのは、ガタイの良いペンギンだった。

 一回り大きな体で、今にも応戦しそうなペレスを羽交い締めにする。


「離してよ、兄さん!」


 ペレスは手足をジタバタ暴れさせながら兄――円卓の騎士ガペェインに苛立ちの声をぶつける。


「駄目だ。俺たちペン卓騎士どおしで争うことがご法度だってことは、分かってるだろ? ちょっとは頭を冷やせ」


 もちろん、そんなことは今更言われなくても、重々承知していた。

 ペン卓騎士――それは、この島の平和を守り、行く末を決定するために結成された騎士ことである。

 この職務を全うするに当たって何よりも大事なのが、お互いの信頼関係だ。

 どんな状況に陥っても、仲間を信じて解決する――そんな騎士道精神溢れるこの仕事に、ペレスは誇りを抱いていた。

 だが、そうは言っても。

 今回ばかりは、到底納得がいく話ではなかった。


「だって、こいつは私の親友を追い出したのよ! 許しておけないわ!」


 ペレスにとって、ペン子は幼い頃からの友人、言わば幼馴染という関係だった。

 共に遊び、共に学び、共に食を囲んだ仲。

 そんな掛け替えのない存在をないがしろにされ、どうしても許すことが出来なかった。


「おいおい、勘違いすんなよ。別に俺の独断で決めたってわけじゃねえ。ちゃんとペン卓会議を通して決定されたんだぜ?」

「嘘よ! こんなこと、ペンサー様が認める訳がないわ!」

「嘘じゃねえよ。何つったって、そのペンサーも認めてくれたんだぜ。だよなぁ、ペンサーさんよ?」

「……そうじゃな」


 ペルドレットの語り掛けに対して、先ほどまでずっと黙っていた族長――ペンサーが静かに口を開く。

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