幕間 ②

 闇の海の中、何者かは白い何かを抱き、漂っている。


「あの子―――」

 声が聞こえてくる。


「気持ちわる―――」

 何者かを不快にする声。


「変だよね―――」

「うざい―――」

 記憶の中に、残る声。


(何でわたしが、そんなことを言われなきゃいけないのか?)

 心が軋む。


(何でわたしが、そんな仕打ちを受けなければいけないのか?)

 心が捻じれる


 憎しみが血液のようににじみ出る


(だからわたしはここにいる。)

(何故自分はここに来なければいけなかったのか?)

(ここにいなければならなかったのか?)

(わたしが悪いのか!)


 自問自答の声が、何者かの心を埋め尽くし――

 ―――コロシテヤ―――


 その時、何者かが抱く白い何かが光を発した。


「そんな―――よくな――――か?」

 誰かの声が聞こえた気がした。


 それは、暖かな声だった。

 すべての声が止んだ。

 何者かの闇に、再び静寂が訪れた。


(駄目だ。そんなことはいけない。わたしは、ここにいればいいんだ。静かに、ここで漂っていれば)

 何者か安らぎを抱くと同時に、その胸に抱いた白い光は、さらにその光を弱めていった。


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