訳が分からない。

「…お前ら緊張しすぎじゃね?」

「そりゃだって馬車なんか乗ったことないし…」

「俺だって無いけど?」

「これから殆どの移動は馬車になりますよ?」

「ええ…」


まじかよ一気に遅くなるじゃん。


「俺もう飛び出して良いかな?」

「どこへ行く気ですか?」

「どっか。」

「行かせませんよ。」

「しっかし俺の親俺知らねえんだよな…」

「まぁ仕方無いでしょう…何しろ3歳という若さで行方不明になりましたから…」

「そっからは山で育ったからな。」

「しかし良く生きてしましたね…山と行っても一体どの山で…」

「なんかクソ深い洞窟があるところ。」

「そこSSクラスがフルパでようやく行くところですよ?」

「13歳の時で洞窟入った。んで…」


フラガラッハを指差す。


「こいつを拾った。」

「拾ったって言うより力技でブチ抜いただけだよな。」

「そうとも言うな。」

「……魔剣フラガラッハ「こいつ神剣だったぞ?」!?」

「今更かよ…」


そんな雑談をしていたら団長がガスマスクを渡してきた。


「こっから先は隣国です。故に常に媚薬が気化した霧が掛かっています。」

「だからガスマスクが必須と。」

「まぁ俺は必要無いし良いか魅了系無効だからな。」

「確かに必要は無いですね…」


そうこうしているうちに城壁が見える。ピンク色の霧は相変わらずだ。


「しっかしなんで今さら俺が帰国させられるのだか…」

「王位継承権が貴方にあるからです。」

「要らんって言っておいて。」

「そういう訳には行かないのです…」

「なんでだよ…」


そうして街の中心部へ馬車は進む………ことができないので歩きで行くしかない。


「馬が狂っちまうのも考えようだな…」

「だね…にしても…」


「ここ本当に街?なんか全てが風俗にしか見えないんだけど…」

「実際風俗と変わらんよ。まぁ民家だろうと宿屋だろうとサカッてる奴らがうじゃうじゃ湧いてる地だ。」

「ひえー…怖…」

「俺から離れるなよ。じゃないと誘拐されるぞ。」

「物騒すぎないですか?」

「まぁ最近じゃ男はずっとヤッてるせいで殆ど出てこないけどな!」

「なら安心「だと思ってはなりませんよ。何しろここはサキュバスだらけでもあります。と言うよりこの国に女のサキュバス以外異性はいませんよ。」

「つまり…」

「同性愛者もいるって事だ。」

「まぁたまにだがな。」

「ボクらとんでもないところに来ちゃったんじゃ…」

「でえじょうぶだ!邪魔するならぶっ殺せばいいのさ!」

「物騒だね!って…いつも通りか…」

「お前らな…」


そんなこんなで騎士が案内する場所まで神経を張り巡らせながら歩く。


「……」無言の殺気

「ちょ…それ私らも怖いんだけど…」

「すまん…」


殺気を閉じ込める。


「それにしても本当に淫魔だらけだね…」

「まぁそのお加減で性産業がアホ伸びしている国だからな。」

「ここで生産される媚薬はとんでも無い効き目だからね…」

「んでお前らはそれを俺の身体に撃ち込もうとしていたと。」

「……」

「はぁ…」


相変わらずヤッてる男は山程いる。


「余り見るなよ気づかれたら面倒な事にしかならんからな。」


さて…


「でいつになったら着くのか…」

「もうそろそろ見えてきますよ~」

「あれね…」


見るからに一際大きな城が見えてきた。

霧が濃すぎて見えなかったわ。


「デカ…」

「さすが公爵家…」


いや俺も驚いてる。

デカすぎないか?


「俺は…………囲まれてる。」


全員が戦闘配置に着いた。


「……いや…気の所為かもしれん…視線は感じるが気配が無い…」

「いや見られてるって事じゃん!」


……城から見られてる。


「良く気づいたね…」

「これくらいなら気づかなきゃあの山じゃ死んじまうよ。」

「……えぇ…」

「にしても視線がさっきから俺に集中してんだよな…」

「そりゃね…」


何だよそのジト目は。


「俺に何か?」

「いや…だって神剣すら一方的にボコるもん…君…」

「弱いからな。」

「俺これでもあれだぞ?黒竜一方的にボコれるくらいにはあるからな?」

「それくらいでイキんな。俺でも出来るわ。」

「怖…何この会話…」

「バケモン同士の会話。」

「バケモンとは何だバケモンとは!」

「間違いじゃ無いね…」

「酷くね?」


そうこう言っているうちに門番がいる門までたどり着いた。


「あの…」

「……あ?」

「って…お前は隣国の。って事はそこの男……が…」

「何だ?俺の顔に何か?」

「……バケモンだ…」

「あって早々失礼な奴だな。」


門が開いた。


「この先の城に領主様はいらっしゃる…親子再開を楽しむと良い。」

「余計なお世話だ。」


歩きで行くのもつかれた。


「フラガラッハ…もう走って突撃して良い?」

「駄目に決まってるだろ!」

「それに君いなかったら私ら不法侵入罪で処刑されるぞ!」

「へいへい…」


そうして城の扉を開ける。開け方くらい分かるさ。


「……えっ?」

「お前らそれ以外反応ねえのかよ。」


中ではパーティでも行われてたのかな。まぁ沢山ドレスで着飾った奴らがわんさかいたわ。

急にざわつき出した。


(あれって…もしかして行方不明だった…)

(いやいやそんな訳無いって…何しろ13年も行方不明だったのよ?)

(いやでもそっくり過ぎない?)

(にしてももう嫁が出来てらっしゃるの?)

「出来てねえよ!」


早すぎるわ!まだ出会って間もないんだぞ!?


広間の扉が勢い良く開かれる。


「一体何の騒ぎ………」


一人の中年男性が扉から出てきた。銀髪だ。体格も良い。顔が俺と似ているパーツが多い。


男は立ち尽くす。

急に涙をこぼしながらこっちに全力で走ってくる。

そして…


「おかえり…わが息子よ…」

「???????????」


まさしく宇宙猫ってこういう事なんだろうな。




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