赤雷の艮毘獣 狼王丸

「きゃ!!」


 ぼうぎょけっかいかいされたとどうに、はんしゃてきにスセリがからだ退き、こうげきかわしたためにはいが、しょうげきふうあつすうメートルほどばされた。

 それをほくおこり、さけびながらじゃこうおうロウオウマルたいたりをける。


「このぉぉぉぉ!」


  ガコン ガコン 

   ガツコーン


 そのロウオウマル攻撃こうげきは、2.5ばいほどじゃこうおうはじばす。


  ガッコン

   ガコン


 じゃこうおうばされ、おにまるおもう。


(フフフ。そう、このちからこそ……)

「フッハハハハハハ!」


 とつぜんわらしたおにまるに、おこった調ちょうほくく。


なにがおかしい!」

「やはりおれくるいはなかった。さまこころいまだれいている? おれか、むすめか、おのれか?」


 おにまるはそういながらじゃこうおうロウオウマルこうげきける。

 そのこうげきたいほくは、シールドわりのかべつくるのではれとしょうげきかくし、ロウオウマル身体からだおおつちめ、それとどうきんぞくちゅうおおつちけてめんからりゅうさせると、じゃこうおうからおおつちはじばした。

 ほくじゃこうおうからきょためロウオウマルうしをに退かせようとするが……


九十九つくもおおつちはじくとは、だが……)


 おにまるはそうかんがえながら、さらいっんでう。


さまにはゆうらん!」


  ガツコーン


「うわぁぁぁ!」


 じゃこうおうおもロウオウマルばすと、ほくさけロウオウマルめんちた。


  ガゴン

   ゴゴン


まえ河川かせんしきでのたたかほどさまゆうかんじない。いや、なにかがりない」


 おにまるほくにそううと、ほくあくたいく。


「くそ!」


 おにまるわれたことほくしんかんじていた。

 あのときおなせんぽうっても、おにまるたおせるがしない。

 なんであのときは、あんなぼうことおもいたのか……

 それをおにまるってかれでか、ほくう。


ぞうさま如何どうかわりたい。だれ如何どうしい。ゆうものへんなどい。ましてやいまじょうきょうでは、にんたすけるなどれ!」

ぞうなにりない…… こんぞうしんめてみるか?)


 おにまるはそうかんがえ、じゃこうおうばされたおおつちしょまで退く。


  ガコン


よわきそのこころ、このおれなおしてくれる!」


 じゃこうおうおおつちひろうと、おにまるはそうった。

 そしてじゃこうおうからだあかはっこうし、からだからじょうほうしゅつされ、そのけむりがしずめまもりけっかいおおくすと、ほくかいうばった。


なんだ、まえが……)


 ほくがそうかんがえていると、とつぜんほくれがおそう。


  ドガッゴン


「わっ!」


 ほくにはかくにんないが、ロウオウマルふくすうくさびようなモノでうごきをふうじられており、ほくさけびとどうに、じゃこうおうロウオウマルとのちょくせんじょうかいが、とっぷうによりひらかれる。


ぼんのうつちよ、夢現ゆめうつつくだいかずちれ! ポーンス、メディウム、エーレークティオー、シニステル、デニステル」


  ガコン

   ガコン

    ガコン


 なにかしらのじゅもんとなえながら、じゃこうおうかがやいているおおつちりょうたずさえ、いっずつロウオウマルちかいてる。

 そんなじゃこうおうかくにんしながら、ほくかいけつさくさくす。


ロウオウマルうごかない。ならかべこうげきを……だ、えなくなってつぎなにをしてるかからなくなるし……)


  ガコン

   ガコン

    ガコン


 いっ、またいっちかいてじゃこうおうは、ついにロウオウマルまえにやってた。


(これまではんのうしか…… かたい)


 じゃこうおうおおつちげ、おにまるさけぶ。


「アウルム……!」


 しかしこえ途中とちゅうまり、おおつちろされることい。

 じゃこうおうまわりに、きゅうげききんぞくやいばふくすうせいせいされ、よううごけないのだ。

 じゃこうおうきんぞくているとはえ、いきおろせば、せいせいされたやいばじゃこうおうからだきりき、おにまるしんきずではまない。

 おおつちじゃこうおうかがやきはえる。


かった、まって……」


 ほくがそううと、おにまるおもう。


ゆうらんがあたままわったようだな。ざかしいひとちからだが、まぁそこそこたのしめた。こんかいはこれまでか)

ざかしいことを……」


 そうったあとおにまるじゃこうおうをわざとうごかさない。

 ぶんいまうごけないことほくつたえるためいちてきじゃこうおううごかすのをめたのだ。

 ほくは、おにまるうごいたらみずからにだいダメージをらうからうごけないとかんがえ、スセリをおおごえぶ。


「スセリだいじょう? おにまるうごいからたすけて、ロウオウマルうごかないんだ!」


 するとしばらくして、けむりのなかからぼうぎょけっかいったあらわれる。

 ロウオウマルじゃこうおうげんじょうとスセリはおどろき、スセリはねんう。


(「ねんためおにまるからははなれてて。ロウオウマルほうおしえたじゅもんくさびえるはずよ」)


「オーリゴー、アニムス、アエテルヌス、プラエタリタ、レディーレ!」


 スセリにそううながされたは、われたとおおにまるからきょり、おしえてもらっておぼえるれんしゅうをしていたじゅもんとなえた。

 いっぽうでスセリは、ねんおにまるはなしかける。


(「これは如何どうことかしらね? それとおんなたいして、やりかたあらい」)

(「さままもっているのだから、もんだいかっただろう。これでおれ退く、きょうりょくたのむ」)

(「かっことね……」)

(「われたごとはした。もんうな」)


 おにまるはスセリにそうねんえると、すこいて雄叫おたけびをげる。


「うおぉぉぉぉ!」


 おにまる雄叫おたけびをげると、じゃこうおういましめていたふくすうやいばくずちりった。

 あたりのけむりもばされ、ほくくさびえたのでロウオウマル使つかい、ばされないようかべっている。

 雄叫おたけびがむとおにまるは、じゃこうおうおおつちロウオウマルけてろす。


  ガコン


 しかしほくロウオウマルちからで、おおつちこうげきじくじょうきんぞくはしらせいせいさせ、こうげきぼうがいした。


こんかいたもためはしらえたか、だが……)


 おにまるはそうおもいながらう。


「これではきょうりん!」


  ドガシャン


 おにまるじゃこうおうで、そのままきんぞくはしらおおつちたたけてかい

 しかしそのときにはすでに、ロウオウマルも、じゃこうおうこうげきはんからはなれていた。


ロウオウマルつくってたたかいなさい。貴方あなたしんてきたおちからい」


 ロウオウマルちかくにり、スセリがそううとほくかえす。


ってっても……」

むかしからおにからだものはとう……、けんかたなまっています。それにたいかくまわりをかんがえても、けんかたななんでしょう」


 スセリがさらにそうったので、ほくさらく。


「でもどうやって使つかうのさ?」

くわえればいでしょう!」


(!)


 ほくはスセリのことしょうげきけた。


「そうか。ありがとうスセリ!」


 おれいほくに、スセリはせつめいする。


ひとています。じゃはらめて、なるべくかっこうたおしなさい」


 はなしをいていたおにまるが、じゃこうおうおおつちかまほくう。


るものならやってるがいい、しょうめんからたたつぶしてくれる」


 そのことけて、ほくなやむ。


かっこうくってったって……)


 するとスセリから、ほくねんる。


(「ほくてることわすれないで。ぶんほうちをけたいのなら、かっこうぐらいけなさい」)

(そうだ、ボクがぶんちゃんをたすけたいのは……)


 スセリのねんかくめたほくは、そうこころなかった。

 そしてほくは、ロウオウマルかくめいれいをする。


ロウオウマル。20メートルぐらいのかたなつくって!」


 するとロウオウマルまえに、ななめにめんさった、つかつばいったいしたきんぞくかたな生成せいせいされた。

 ロウオウマルはそのかたなみねぶんくわえると、めんからき、つかぶんくわなおして、じゃこうおうんでく。


  ガコン

   ガコン

    ガコン


なにをするだ? ただんでるだけでは……)


 ちかいてロウオウマルかたなとうしんを、おにまるはそうおもいながらおおつちようとする……

 が、るはずのしょうげきい。

 ロウオウマルかたなとうしんは、おおつちたるまえきゅうげきみじかくなり、じゃこうおうへのこうげきいちてきにスルーし、ロウオウマルはそのままじゃこうおうかくまわみ、そのこんかたなとうしんながさをもともどしてまわす。


  ブォン

   カキン


 ロウオウマルい、おにまるじゃこうおうかろうじてざんげきおおつちふせぐ。

 だが、またロウオウマルかたなとうしんみじかり、バランスをくずしたじゃこうおうに、こんとうしんばしたこうげきおそいかかる。


  ドガッシャン


 かたかたなとうしんさり、じゃこうおうひざうごきがまった。


ひとおにちから使つかった、おもしろおもく。退くのはざんねんだが……)


  ガゴン

   ガゴン

    ガゴン


 おにまるがそんなことかんがえていると、ロウオウマルじゃこうおうからちぢめてとうしんき、きょった。

 そして、じゃこうおうぷたつにするためとうしんばし、ロウオウマルさいんでく。


  ガコン

   ガコン


  ドガッシャン


 じゃこうおうロウオウマルかたなぷたつにされ、ひかりとってえてく。


たのしかったぞ、またおうゆうしゃよ……」


 おにまるがそうわるころには、じゃこうおうしょうめつ姿すがたい。

 ほくはそのこといたあと、あることおもロウオウマルめいれいする。

 

しゃくらいこんじゅう


 ほくがそうはじめるとどうに、ロウオウマルくわえていたかたなそらほうげ、とうえをえるポーズをった。


ロウオウマル!」


 ほくがそうわると、ロウオウマルとうえをえる。


「ワオーン!」


 とおえがわるころげたかたなロウオウマルちかくのめんさった。



 ★★★★



ははうえためとはえ、にんげんほうわれわれかいにゅうするとわな……」


 そうったのは、あおじろはだちゅうせいてきせいねん姿すがたかみ

 てんまるは、せいねん姿すがたかみおもっていたことく。


ひときしてもよろしいですか? 貴方あなたわれわれきょうりょくをするになったのです」

あにおとうとたすけて、なにわるい?」


 するとごくとうぜんように、そうせいねん姿すがたかみはそうこたえた……

 ……そうこたえたが、てんまるはこのかみが、そんなゆうぶんたちきょうりょくしているのではことかいしていた。


 せいねん姿すがたかみてんまるは、ひとかいせいかつするためじゅんをしていた。

 このそんざいしないにんげんを、ほうてきつくげるいろいろこと

 にせじゅうみんひょうつくるとか。

 それがあやしくないようやくしょにんげんおくいじるとか。


「それではわたししつれいする。しょうたいがバレそうになったらまたんでくれ。そのときには、いまよりちからもどっているだろうからな」


 せいねん姿すがたかみがそううと、てんまるしんまんまんかえす。


「そのようこといでしょう。さまあんしんしてていてくださればい」


 しかし……


(それでは、わたしねがいはかなわない……)


 ツクヨミはそうおもいながら、くちことい。

 かれつきしんなら、つき存在そんざいしめげっこうかれこうどうそのもの。

 そしてつきひかりははんしゃひかり。

 ときゆめかみこうどうは、いったいだれひかりのはんしゃなのだろう。

 ツクヨミはおりようしたいろいろにせしょるいおもう。


(アマテラスねえさまわたしは……)



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