第31話
しかし臭いで分かる。強烈な
暫く走ると、武家屋敷の集まる地域に出ていた。そこからは走らず、ゆっくりと歩きながら臭いを追った。
刀は持っているが、問いただされることはまずないはずだ。
それは
「ふ、ん。
この家は二万石という小家だ。
しかし、財政は他の家より裕福だ。漁業と林業でかなりの利益を上げている。そしてもう一つは
基本的に
肥前には数々の陶器の製造元がある。
しかし、値が張る。
そこで肥前の希少品ではなく、質はほとんど変わらず、安価な
先程の賊達も見当たらなかった。
時雨は取りあえずそのような場所は避け、屋敷の庭を頭の中に入れていった。小家だが一応大名なので屋敷は広い。土蔵などもある。
その土蔵のなかで1つだけ明かりが灯ったものがあった。
土蔵の中は蝋燭で火が灯され、
どこからか女の喘ぎ声と複数の男達の声が聞こえてくる。
仕掛けはすぐに見つかった。どうやら少し押し込み、離すと床が軽く跳ね上がるように出来ていた。
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女の影が女の声とともに揺れ動く。部屋の奥に映る影は四つだ。女らしき影が前後から男達に責められていた。
もう一つの影は身動きをせずに立っていた。
「おい、先生。女の反応が鈍くなった。また例の物をくれ」
男の声に、背を向けていた男が振り向き、近づいてきた。手に筒のような物を持っている。影から現れた者の顔は
(と、
頬は痩け、目の下には隈ができている。あれだけ逞しかった身体はやせ細り、筒を持った手はふるふると震えていた。
女の髪を掴み、後ろへ引っ張る。女の顔は上を向き口が開いた状態になった。そこへ筒の中の者を流し込む。赤い液体だ。しかも
女が赤い液体をこぼしながら飲み込んでゆく。
もう一本筒を持ってきた。
今度はもう片手に針を持っている。そして針を筒の中の赤い液体に浸し、女の身体に刺し始めた。それは
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