第15話
「旦那様、どのようになりましたか?」
意を決したように番頭が声を掛ける。
「あぁ、千両の罰金と
さすがに番頭とお京も座り込む。
合計三千両の罰金だ。金はあるがかなりの出費である。
それよりも営業停止の方が堪える。出費は取り戻せば良い。しかし取り戻す手段を止められたのだ。
ただ、
「
お京がはっとした顔で尋ねる。
「その場で死んだといっても普通は
なんとか引き取れるよう頼んではみるが……」
そこまで言って
あの遺体を引き取って
「とりあえず、明日からは休業だ。いろいろと大変だろうが各人の役割や仕事を割り振ってくれ」
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若い者達はここぞとばかりに地下の整理を始め、遣手たちも一階広間の掃除をしている。
昼からは奉行所の立ち合いのもと
そこではさんざん嫌みを言われたようだ。
その後、世話になったおやじや寄合の組員達に迷惑料を配る。
当然、
最終的な損益は五千両近くに昇った。
金の精算を終わらせたら、
幸い、
そして、
「なあ、
帰ってきた
ほとんどの者は近づこうとすらしなかった。
遺体になって数日が経過していたので、一日だけ
寺の住職の
しかし、
普通の
簡単な葬式と埋葬を済ませると一行は帰路についた。
江戸の市街に入り、吉原へ歩いているとき
誰かの視線を感じ取っていたのだ。
「誰かに見られていんす。あちきが正体を確かめてきんす」
そう言うと時雨は自然と別の方向に歩き出した。
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(あらあら、あきちが狙いでござんすか)
そのまま、表通りを歩き、買い物をする振りをしながら歩く。そして人気の無いところへ誘導した。
相手は誘導されていることに気づいていないのか、わざと付いて来ているのか、一定の距離を保ったまま付いてくる。
目標を見失ったと思ったようで、視線の主は早足で向かってきた。
相手はそのまま顔面から落ちた……、落ちない!
そのまま宙で一回転して着地する。
「誰だい、あんた。あちきが
相手は時雨より少し丈の低い男だった。仕立ての良い着物を着た武士だ。
「
男から洩れた言葉は、とても懐かしい言葉であり、懐かしい声であった。
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